仕入れ・生産活動(2014年6月19日)

5期生の宮本和雅です。
今週の橋本ゼミは、山本君の発表に加え、新聞記事から見た自社株買いやIFRSとのれんの関連について学びました。

空飛ぶ会計士を目指す山本君の発表テーマは「仕入れ・生産活動」についてです。
まず初めに、世の中では様々な企業が様々な活動をしていますが、全て企業は営業循環と呼ばれる一連の流れを繰り返すことで活動を続けることが出来ます。主な例として仕入→生産→販売→回収の流れを繰り返すことで企業は得た利益を次の仕入に回してずっと活動を続けられる、といったことが挙げられます。

営業循環の中にある仕入、生産部分に当てはまる資産には商品、製品、原材料、半製品、仕掛品、貯蔵品があります。これら6つは棚卸資産と呼ばれており、
商品:他者から完成品として購入
製品:自社で作り完成させた商品
半製品:未完成でも市場で販売できるもの...
仕掛品:未完成だと市場に出せないもの
貯蔵品:仕入、生産等に必要な事務費や荷造り費など
といった区別があります。

一般に企業が仕入に要する財貨、つまり販売目的でものを購入する際に必要な金額のことを取得原価と呼び、この中には引取運賃や購入事務費も含まれています。
取得原価は商品不良による返品や、1度に多く注文をつけることによる代金の減額によって変化しやすいので、それぞれ仕入値引、仕入割戻といった言葉が使われますが、このほかにも仕入割引と呼ばれるものがあります。こちらは一般的な想定より早い時期に購入代金を納める代わりに代金を割引してもらったことを意味しています。ちなみに掛かった消費税については、本来消費者が払うものとの考えから税抜方式で会計処理することが本来の姿であるとされていますが税込方式で取得原価に税を含む方法も存在はするようです。

取得原価に関する説明はさらに続き、次に価格を決定する基準へと進みます。
実務上では取得原価に基づいて金額を計上していますが、他にも取替原価や純実現可能価額で計上することも理論上可能です。いずれにしても購入から販売までトータルすると同じ額になりますが、取替原価では「今、購入時と同じ資産を買うなら購入時との差額がいくらか」、純実現可能価額では「今、保有している資産を売却したならいくら利益が得られるか」といった情報を表し、取得原価に対し今の価値、つまり時価に重きをおいた考え方となっています。これらは時価による評価重視か取得時の原価による評価重視か意見が分かれる会計上の課題に関連するものと思われます。

さて、ここからは企業の生産活動に関する説明となります。工業簿記を学ぶ際に見かける図や用語の多い箇所です。こちらでは初めから完成した品を売り込む商業とは異なり、原料を加工し製品を作り上げるメーカー側の視点に絞っています。
商品の生産を行うメーカーにとって取得原価は、仕入れた原料プラス加工費を合わせ完成品が出来るまでの費用とする必要があります。この計算が適切に行われるように、企業会計審議会で「原価計算基準」なるものが定められたりしています。
実際の計算では、
1)材料費:鉄鉱石、燃料費、工場消耗品費など
2)労務費:賃金給料、福利費、退職給付引当金など
3)経費:電気代、減価償却費、外注加工費など
が主に含まれる内容となります。工業簿記を学ぶと計算の仕方が分かります。
製造業を営む企業は、上記にあげた原価計算を行った記録を公表する必要がありますが、損益計算書に添付される製造原価明細書がそれに当たります。

発表の最後は、人件費に関する内容です。
ここでは主に給料についてその仕組みと会計処理の方法を学びました。
給料は大きく分けて①毎月支払い(月給)+②半年1回の賞与(ボーナス)+③退職金の3つのタイミングで支払われます。給料は源泉所得税と社会保険料を差し引いたうえで従業員の手へと渡されています。
ところで②の賞与ですが、この支払日が会計処理の日数とうまくかみ合わないことがあります。前期、当期、次期の境目にボーナスがあるとまだ働いてない分先に支払っている、あるいは見合うだけの労働があるけどまだ給料を払っていないように決算書類上で見えてしまうので、そのようなときは賞与引当金を使用します。当期働いた分のボーナスが次期にもらえることを証明するためボーナスの見積額を定め当期に計上しておくというものです。
また、③の退職金も経営者の頭を悩ませる課題となっていました。大きな金額が突発的に出ていくことは経営上出来れば減らしたい。そこで考え出されたものが、企業年金や退職給付引当金といった入社時から徐々に退職金を積み立てておくシステムです。年金は金融機関で基金を設置し、引当金は外部を利用せず自社内で積み立てる方法です。
現在多くの企業は上記のような給料支払いの形態をとっていますが、近年では異なる形態の報酬制度も存在します。それは、現金ではなく自社株の購入権を従業員に与えるという方法で、ストックオプションと呼ばれています。この方法だと、自社株購入権を持つ社員は増益後の株価ではなく購入権が定めるより安い値で自社株を購入でき、企業の成長が自身の利益上昇にシンプルに結びつきます。この制度は、より従業員の意欲を高めたり外部の優秀な人材を起用しやすくする点が期待されており、経営者を目指す人でなくともこうした制度を知っておくことは就職活動で企業と自分を知る助けになると思います。

最後の文は私の個人的な意見でしたが、これで山本君の発表は以上となります。値引、割引など一文字違いの語句が増えて正しく用語理解をすることがだんだん難しくなって来ました。豊富な図表を用いて説明してくれた山本君も言葉がごっちゃになりかけた箇所があり苦労している様子でした。自分もこのまとめを書いている途中で混同した箇所があり中々まとめることが難しい所です。
出来ればのれんとIFRSについて触れておきたかったのですが、このままだと長々と延びてしまうので、いったんここで締めくくりといたします。
今週の橋本ゼミ発表は以上です。