共同研究報告‐その1‐(2014年6月19日)

4期生の石田裕明です
先週から、共同研究に入っており、詳細は以下になります

◯石田班
・研究テーマ:製造業、小売業における金融事業への多角化が経営に与える影響
・リーダー:石田裕明
・メンバー:嵐統康、田路奈都子、外山淳一、東山美喜

◯浜野・吉井班
・研究テーマ:ポイント会計...
・リーダー:浜野雄大、吉井由香里
・メンバー:ジョウショウ、谷良樹、能勢高彰、水野菜津子

◯藤原・口石班
・研究テーマ:統合報告書と社会的責任投資
・リーダー:藤原美樹、口石麻衣
・メンバー:奥野明彦、カクロ、越林航、西村涼太

石田班と藤原・口石班は大きな研究テーマとして「長期投資」を設定しています
研究の細かい部分は異なりますが、互いの班で切磋琢磨しあい、短期投資が重視される現在の投資市場に一石を投じる研究成果を出せるように頑張ります

浜野・吉井班は私達が日常使用している量販店やコンビニなどのポイントについての会計処理について研究していきます
国際会計基準ではこういったポイントに対する会計処理は明確な規則が整備されているのですが、日本会計基準では規則が整備されておらず企業の善意に会計処理や開示を委ねている状態にあります
そのため、のれんの償却などの面で国際会計基準に比べ優れている日本会計基準も、ポイント会計では極めて深刻な脆弱性を内包していると言えます
国際会計基準と日本会計基準を比較しながら、あるべき正しい制度、そしてポイントが持つ不確実性が投資家や債権者に対して、どういった影響を及ぼすのかについて研究を行って欲しいと思います

さて先生から共同研究の合間の息抜き?として新聞記事を読んで意見を述べるという課題が出されています
今週は下記の"広がる人手不足 トヨタでさえ足りない"の記事について意見を述べてみたいと思います
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO72499470Q4A610C1SHA000/

記事としては景気回復を受けてトヨタが人手不足になっておりグループ各社に応援を求めている、また製造業だけでなく外食や土木建築などを中心に他の産業にも人手不足が広がっているという内容でした
人手不足になるほどの景気回復になっているという喜ばしい内容ですが、ここでは鵜呑みにはせず検証を行ってみたいと思います
先ず人手不足になっているという事は就業人口が増えているということになります、その事について総務省が公表している労働力調査という統計資料で見て行きたいと思います

"平成26年(2014年)1~3月期平均(速報)結果
【雇用形態別雇用者】
役員を除く雇用者5193万人のうち,正規の職員・従業員は,前年同期に比べ58万人減少し,3223万人。
非正規の職員・従業員は100万人増加し,1970万人と,四半期ごとに集計を開始した2002年1~3月期以降最多"
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/

確かに就業人口は増えていますが、その内訳を見てみると正規雇用労働者は減少しているが、非正規雇用労働者が増加している事によって達成している事が読み取れます
この事から今回の人手不足というのは非正規雇用労働者市場においてのみ見られる事象であると言えます
では何故、企業は人手不足になっているとしながらも正規雇用労働者を増やそうとしないのでしょうか?
それは固定費が増大することで営業レバレッジが上昇することを避けているためです、人件費には二つの性質があり非正規雇用労働者の人件費は変動費ですが、正規雇用労働者の人件費は固定費となります
企業は人件費の上昇分を変動費化することで、固定費の増加を抑制し営業レバレッジを維持、または下げようとしています
しかしながら、景気回復局面においては固定費を増加させ営業レバレッジを高めることが利益の最大化を目指す場合はセオリーとなります
そのため、景気回復局面にあるとされる現在は正規雇用労働者の増加が見られるはずですが、現実としては正規雇用労働者は減少し非正規雇用労働者が増加しています
これは何故でしょうか?考えられる要因としては企業が景気回復局面にあるという確信が持てていない事が挙げられます
つまりインフレマインドは広がっているが、消費税増税などの景気後退要因があるため企業はまだ固定費を増加させる確信が持てない状況にあるということです

ただ、景気回復に確信を持っている企業は正規雇用労働者を増やし、固定費を増加させ営業レバレッジを高めています

スターバックス、契約社員800人を正社員に
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGF2700P_X20C14A2EB2000/

ユニクロのアルバイトなど1.6万人正社員に
http://toyokeizai.net/articles/-/33330

アベノミクスに求められているのは、日本企業全体に上記の企業のような固定費を増加させる確信を持つに至らしめる成長戦略を描き、実行することです
正規雇用労働者の増加もですが、国内に向けた設備投資も増加していかなければ景気回復は持続しません
金融緩和と財政出動で株式市場を中心としてインフレマインドが形成されているのは確かです、このインフレマインドが形成されている間に消費税増税などの景気後退要因をはね除けるだけの成長戦略を成功させることが重要になってきます
そのため成長戦略を実行していく、今から2~3年が日本経済にとって大きな勝負所になると思っています

今週の報告は以上です