「企業集団の財務報告」(後半)(2014年5月15日)

4期生の石田裕明です
今週のゼミでは「企業集団の財務報告」の後半に関しての勉強を行いました

「企業集団の財務報告」は先ず持分法による投資損益を見ていきました
先週は子会社の業績を親会社の財務諸表に反映していく連結決算の手続きを見ていきましたが、今週は関連会社と非連結子会社の業績を反映させる持分法を見ていきました...
持分法とは、投資会社が非投資会社の純資産および損益のうち投資会社に帰属する部分の変動に応じて、その投資の額を連結決算日ごとに修正する方法をいい、持分法が適用されるのは関連会社、非連結子会社です
「関係会社株式/持分法による投資利益」or「持分法による投資損失/関係会社株式」という一行の仕訳で親会社の投資勘定に反映させます
このように一行の仕訳で行われるため持分法は一行連結とも呼ばれます
そして持分法における投資損益の処理、投資差額の処理、未実現利益の控除、受取配当金の処理を仕訳問題を通して勉強しました

次に連結包括利益計算書・連結株主資本等変動書について見ていきました
「当期純利益 + その他包括利益 = 包括利益」となりますが、包括利益の意義はダーティサープラスとクリーンサープラスのギャップの解消にあります
資産負債アプローチと収益費用アプローチで生じる認識の違いによって貸借対照表上の純資産額の増加額と損益計算書上の利益にギャップが生じていることをダーティサープラスといい、生じていないことをクリーンサープラスといいます
これらが発生する例としては評価額を貸借対照表に計上するとともに、かかる評価額を損益計算書を通さず直接に純資産の部に計上する資本直入方式が挙げられます
また連結包括利益計算書では親会社の株主に帰属する金額と子会社の少数株主に帰属する金額を区分する必要があります
連結株主資本等変動書は連結貸借対照表の純資産の部を構成する項目について、期首残高から期中の増減を経て期末残高に至るプロセスを表示するために作成する書類のことをいいます

そしてセグメント情報を見ていきました
セグメント情報は成長性、収益性、リスクを異にする複数の事業から構成される企業集団の業績を的確に把握し、評価するために必要になります
公開すべきセグメント情報には事業の種類別のセグメント情報と所在地別セグメント情報の二つがあります
そして具体例としてソニー、パナソニックの事業の種類別のセグメント情報、任天堂の所在地別セグメント情報を見ていきました

ソニーはカメラや放送機器、映像素子といったイメージング・デバイス事業、ゲーム・音楽・映画といったエンターテイメント事業、生命保険、損害保険を核とする金融事業が収益の柱であることが読み取れました
パナソニックは自動車関連事業や住宅関連事業が収益の柱であることが読み取れました
ソニーやパナソニックといえば家電事業中心の企業であるというイメージがありますが、現在は異なる事業が収益の柱になっているといえます
こうした流れは日立、東芝、三菱電機などでも同じで、こちらは情報通信システム、社会インフラ、産業メカトロニクスなどが収益の柱になっており、そういった事業へと経営資源を集中させています
家電製品市場は産業構造的に利益を出すことが難しくなっているため、電機各社は経営資源をBtoBビジネスに集中させているというのが現在の流れです

任天堂の所在地別セグメント情報から読み取れるのは海外比率が非常に高いということです、全盛期には87.5%にも達しています
この海外比率の高さはゲーム市場の国別地域別の構成比を見れば明らかである事が分かります、ゲーム市場というのは北米市場と欧州市場で全体の約8割を占めており日本市場は約1割です
そして北米・欧州市場では据置型ゲーム機が主流です、対して日本市場では従来は携帯型ゲーム機が主流でしたが現在はソーシャルゲームやスマートフォン向けのゲームに置き換わりつつあります
またゲーム機ビジネスの戦略グループには据置型ゲーム機と携帯型ゲーム機がありますが、ソーシャルゲームやスマートフォン向けのゲームと事業領域が被っているのは携帯型ゲーム機であり、据置型ゲーム機とは被っていないといわれています
ここから分かる事はゲーム市場の8割を占めている北米・欧州市場で据置型ゲーム機が売れるかどうかということがゲーム機ビジネスにおいて最も重要な事であるということです
新聞やニュースなどでアナリストが任天堂はソーシャルゲームやスマートフォンなどに対応すべきと解説しているものを良く目にしますが、そうではなく最高の据置型ゲーム機を開発し提供することこそが最も重要なことなのだと思います
フローは厳しい状況が続いていますがストックは潤沢ですので、その間にしっかり腰を据えて最高の据置ゲーム機を開発して持ち直して欲しいです

最後に会社の合併を見ていきました
会社の合併形態には吸収合併と新設合併があり、合併の会計処理にはパーチェス法と持分プーリング法があります
しかしながら合併の形態は吸収合併がほとんどであり、会計処理はパーチェス法ですべきとされています

今週の報告は以上です