「企業集団の財務報告」(前半)(2014年5月8日)

4期生の石田裕明です
今週のゼミでは始めに夏合宿についての計画を話し合いました、夏合宿は9/12・13を予定しています
その後は「企業集団の財務報告」に関しての勉強を行いました
プレゼンテーションの担当者は藤原美樹さんでした

「企業集団の財務報告」は先ず連結財務諸表の重要性について見ていきました
現代は個々の企業が独立して事業を営んでいるのではなく、親会社が複数の子会社や関連会社を支配し企業集団を構成している場合が多いです
そのため法律上、法人格を異にする別の企業であったとしても経済的・実質的には支配従属関係を通じて1つの組織体であると考えることが出来ます
そういった場合は企業集団を1つの会計単位として財務諸表を作成することが経済的に合致しているため連結財務諸表を作成します
個々の企業を会計単位とする財務諸表を個別財務諸表と呼び、企業集団を会計単位とする財務諸表を連結財務諸表と呼び、親会社に経済的な支配や影響を受けている企業を子会社と関連会社と呼びます
子会社とは、親会社がその企業の意思決定機関を支配している企業を言います、子会社であるか否かを判断する基準には持分基準と支配力基準とがあります
持分基準とは親会社が他の企業の議決権付株式の過半数を保有することで、その企業の意思決定機関を支配することが出来るため、その企業を親会社の子会社であるとする考え方です
支配力基準とは親会社が議決権付株式の過半数を保有している場合に加え、議決権付株式の過半数を保有していなくとも意思決定機関を実質的に支配していれば、その企業を親会社の子会社であるとする考え方です
持分基準は支配従属関係を形式的に判断するため客観性という面では優れていますが、それだけでは企業集団の実態を把握できないという欠陥があります
そのため連結の範囲を決定する基準としては支配力基準が採用されています
関連会社とは、親会社が単独で、または子会社と協力して、相手企業の意思決定に重要な影響を与えることが出来る場合の、相手企業のことを言います
基本的には相手企業の議決権付株式の20%以上50%以下を保有している場合の相手企業が関連会社とされます
しかしながら議決権付株式の保有が20%に満たいない場合でも実質的に意思決定に重要な影響を与えることが出来る場合は関連会社となります
これらの企業集団の連結財務諸表を作成する考え方には親会社説と経済的単一体説とがあります
親会社説とは企業集団の持分比率を重視し、企業集団は最大持分の親会社のものであるとされ、親会社の持分のみを財務諸表に反映する考え方です
経済的単一体説は企業集団に参加する全ての企業を1つの経済単位とし、企業集団を構成する全ての企業の持分を反映させる考え方で
これら2つの概念には連結の範囲、少数株主持分、資本連結、のれんなどの違いがあります
例えば連結の範囲では親会社説では持分比率を重視するため持分基準となり、経済的単一体説では持分比率よりも経済的な支配の事実を重視するため支配力基準となります
また法人税法も個別企業ごとではなく企業集団として課税所得、納税額の計算を行う連結納税制度が選択できるようになりました

連結の範囲を決める考え方には持分基準と支配力基準がありますが、支配力基準はどんなものかピンと来ないかもしれません
実例を見てみると分かりやすいので挙げてみたいと思います

"イオン、ダイエー株44%保有で連結子会社化"
http://jp.reuters.com/article/idJPTYE97L00I20130822

イオンがダイエーの議決権付株式を44%保有する筆頭株主になり、ダイエーに対して過半数の役員を派遣することでダイエーがイオンの連結子会社となるという内容です
ここで重要な事は議決権付株式を44%保有する筆頭株主になったこと、過半数の役員を派遣することという二点です
つまりイオンがダイエーの株主総会と取締役会という意思決定機関を実質的に支配したため、連結子会社となるということです

次に連結貸借対照表と連結損益計算書を見ていきました
連結貸借対照表とは連結決算日現在における企業集団の財政状態を示す財務諸表であり、連結損益計算書とは連結決算日現在における企業集団の経営成績を示す財務諸表です
そして、これらの連結財務諸表作成に必要な資本連結、未実現利益の控除、債権・債務の相殺消去などの処理手順を見ていきました

今週の報告は以上です