税金と配当(後編)(2013年12月19日)

4期生の石田裕明です。
今週のゼミでは始めに共同研究の進捗状況の報告を行い、その後に「税金と配当」の後編である配当に関しての勉強を行いました。プレゼンテーションの担当者は浜野雄大くんでした。残りの時間では橋本先生から経済ニュースの解説がありました。
予定していた税効果会計の詳細やりそな銀行の事例、質問に対する解説は橋本先生の準備が必要なため次のゼミの時間に行うことになりました。

共同研究の進捗状況ですが『Release;』の研究は該当企業から出された課題の一部である「社会的な背景、経営スタイル、将来像」の項目について完了 し、提案する収益モデルの数値化、図式化、具体化に邁進しているという状況になっています。ビジネス提案1次〆切の12月23日が迫っていますが最後まで 頑張りたいと思います。
『京都産業大学の広報戦略』の研究は情報集を行うための取材の詳細について内容を詰めている状況になっています。こちらの研究は進捗が若干ですが遅れてきているため巻き返していきたいと思います。

「税金と配当」は先ず配当の決定の過程に関して見ていきました、株主総会に至るまでに提出される損益計算書と株主資本変動計算書の情報により利害関係者間 のコンセサンス(合意)が形成され、株主総会で配当の財産の種類や金額が決定されるという説明がありました。
また下記の要件を満たせば取締役会で配当が可能になるという説明がありました。
①監査役会設置会社または委員会設置会社
②同時に会計監査人設置会社である
③取締役の任期が1年を超えていない
④定款で剰余金の配当を取締役会が決定する旨を定めている
⑤計算書類等の監査で適正意見が付されている
そして2006年から施工された会社法では金銭以外の財産を配当することが認められており現物配当を行うことが可能であるという事と配当回数制限が撤廃され機動的な配当が可能となっているという説明がありました。
現物配当では株や土地などがあるそうですが実際に現物配当を行っている企業はとても少ないという事でした。
また配当可能回数制限が撤廃されたため中間配当は特別な意義を持たなくなっているとの事です。
配当の支払に関してですが日本企業は利益額が変動しても一株当たりの配当額を一定に維持する安定配当政策を採用していたが業績に連動して配当を決定する配当性向政策を採用する企業が増えてきたという説明がありました。
これはこれまでの間接金融主体の資金調達から直接金融主体の資金調達に変わってきたことが背景にあるという議論や配当額が少ない方が株主資本コストは低く抑えられ企業にとっては良いが株主側から見れば否であるといった議論を行いました。
後者の議論では投資ファンドが話題に出てきました、そこでは配当性向が低い場合に投資ファンドから多額の配当を要求される場合があるといったことや今後はそういった株主との関係をどう上手く良好に構築すべきかについて議論を行いました。
また泉北高速鉄道や西武秩父線の例が挙げられ第三セクター[NPO・市民団体などの非営利団体、国や地方公共団体と民間が合同で出資・経営する企業(第一 セクターは公企業、第二セクターは私企業)]に投資ファンドが介入することの是非についても議論を行いました。
その後は分配可能額の規定、剰余金・分配可能額、配当における準備金の積み立てを見ていきました、株式会社の特徴の一つである株主の有限責任は債権者の側 から見れば債権者の権利は会社の純資産で保証されるだけということになるため会社法は債権者を保護するため配当にあたって資本準備金または利益準備金の設 定を求め資本準備金と利益準備金の合計が資本金の4分の1に達するまで、配当総額の10分の1を資本準備金または利益準備金として積み立てなければならな いという説明があり、説明後に簡単な仕訳問題を行い理解を深めました。
そして配当上限額についてと下記の分配可能額の控除項目の説明があり、実際に計算を行い理解を深めました。
①会社の保有する自己株式の帳簿価格
②年度末に資産の部に計上したのれんの額の2分の1と繰延資産の合計額が、資本金と準備金の合計額を超える場合、その超過額(のれん等調整額)のとき
③年度末にその他有価証券評価差額金と土地再評価差額金が借方残高のとき
④株式会社の純資産(その他資本剰余金とその利益剰余金の控除後)が300万円を下回ったとき、その額
次に損失処理、任意積立金について見ていきました、損失処理は当期純損失が計上された場合は繰越利益剰余金があればそこから差し引き、それでも補填できな い場合は利益剰余金を取り崩し、それでも損失があれば繰越損失にして次期以降の利益で補填する事になり損失を次期に繰り越す場合は株主総会の決議を要しな いが利益剰余金や資本剰余金を取り崩して損失を処理する場合はその議案を株主総会に付議し承認されなければならないが上記の要件を満たせば取締役会で損失 処理を決定することが可能であるという説明がありました。
そして任意積立金は留保利益の項目であり、事業拡張に備えるための事業拡大積立金など設定目的が定まっているものと目的を定めない別途積立金があり、特定 目的の積立金は、その目標を達成した時に繰越利益剰余金に参入されるが、別途積立金を取り崩すには原則として株主総会の承認を得なければならないという説 明がありました

プレゼンテーションと質問後の残った10分ほどで今週の気になった経済ニュースということで現在の為替相場について挙がったため、橋本先生から中央銀行の役割や金利に関しての解説がありました。
次のゼミは年明け後ということになります、予定としては税効果会計に対する橋本先生からの解説と「財務諸表の作成と公開」になります。

今週の報告は以上です。