旧プロジェクトでは京都産業大学大学院の実験室 (Kyoto Experimental Economics Laboratory: KEEL) を2002年3月に建設し、 それ以来、さまざまな学問分野に従事する研究者達と協力し、数々の実験を行い、 その研究成果は多くの学会や学術誌で発表されました。また2004年12月には研究発表、 研究交流を目的としてノーベル経済学賞受賞者であるバーノン・スミス教授を中心に 多数の著名研究者を招いて国際会議 "Experiments in Economic Sciences: New Approaches to Solving Real-world Problems" を開催しました。
本プロジェクトでは旧プロジェクトで蓄積された実験経済学の研究とそれを活用
した経済教育の実践で得た知見をもとに、教員が実験を生かして経済学を体系的
に教えるための教材、そして学生が主体的に実験を設計、実施、分析しながら経
済的思考を身につけるための教材の開発を目指してきました。
そして新たな研究として人間の経済的意思決定を脳の機能と活動に基づいて理解 しようという視点からニューロエコノミクスの研究を行いました。その主たる問題 意識は旧プロジェクトの蓄積において明らかになった「体系内における学習・推 論」と「体系についての学習・推論」の統合の必要性にもとづきます。
実験経済学およびニューロエコノミクスの重要性および将来を考え、私たちは、 所属と専門を超えて開かれた研究組織として、日本におけるこの分野の研究およ び教育のセンターの役割を果たし、新しい科学の発展とそれを担う人材の育成に 貢献してきたと考えています。