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今回はEXCELでデータを整理し、集計する機能について解説をします。今回の内容は、きっと実務でも利用頻度が高いテクニックだと思いますので、ぜひマスターしてください。おすすめです!
教科書を持っている場合は、第4章13「Excelの便利な機能」P.168も合わせて参照してください。
今回はEXCELでデータを整理したり集計したりするのに便利な4つの機能を紹介します。
以下、順番に解説します。
EXCELの「並び替え」機能を使えばデータを特定の順番に並び替えることができます。「並び替え」のことを「ソート」と言うこともあります。
データを分析する際に整理ができるので便利です。
練習問題の「練習1」シートにアクセスしてください。
これは架空の住所録です。しかしバラバラの順番に並んでいるのは見にくいです。そこで、氏名の50音順に並び替えてみましょう。以下のような操作で簡単に並び替えを行えます。
これでフリガナの50音順にデータが並び替えられます。とても簡単ですね!
これでたとえ順不同に並んでいる乱れたデータであっても、後から簡単に整理できます。大変強力です。
並び替えは最初にクリックした列を基準に行われます。
例えば性別欄のどこかをクリックして並び替えをすると男女で並び替え、住所欄のどこかをクリックして並び替えをすると住所で並び替え、登録No欄のどこかをクリックして並び替えると登録No順(=元の順番)で並び替えられる、という具合です。
なお、並び替えによって移動が起こる際は、横一行でつながっているデータも一緒にまとめて移動します。上の図なら、赤枠の範囲がまとめて移動します。
表の一部分を範囲選択しないようにしましょう。選択範囲の中だけで移動してしまい、周辺のデータとの位置ずれが発生してしまい、データの関係性が崩れる危険があります2)。
いろいろな欄をクリックして並び替えを自由に試してみましょう。下の動画ではフリガナ、性別、住所で次々と並び替えを行っています。
並び替えはいつでも実行できます。データも普通に入力するだけでOKです。
ただしスムーズに並び替えを行うためには、データの書き方にいくつかのルールがあります。並び替えを行う場合は、以下のルールを確認しておきましょう。
Alt
+Enter
)を行ってください。
より複雑な並べ替えを行います。練習問題の「練習2」シートにアクセスしてください。
条件が複雑な場合は、「ユーザー設定の並び替え」機能を使うと便利です。
たとえば、担当者を50音順に並べ、さらに同一担当者については、売上金額の多い順に並ぶようにしてみましょう。
こういう複雑な並べ替えをしたいときに「ユーザー設定の並び替え」の出番です。
「最優先」の並び替え項目が「担当者」なので、基本は担当者順に並んでいる様子が分かります。そして、同じ担当者については、売上金額が多いものから少ないものに並んでいる様子が分かります。とっても器用ですね!
このように複雑な並び替えを行いたい場合は、「ユーザー設定の並び替え」を行えば良いというわけです。
余裕があればいろいろな並び替えを試してみましょう。
例えば「製品名」別に並び替えを行い、同一製品内では「注文日」の順番に並ぶように設定してみましょう。
つまり、最優先が製品名、次が注文日というわけですね。
このように並び替え機能を使えばデータの並びを簡単に揃えられます。
バラバラに並んでいるデータは扱いにくいです。目的の場所を探しにくいので、修正なども大変です。なのでデータをきれいに並び替えておくと、必要な情報を探しやすくなります。書類を提出する前に体裁を整えたりするのにも、並び替えをぜひ活用してください。😁
2つ目の便利機能です。
EXCELには、たくさんあるデータの中から目的のものを探せる、いわゆるデータ検索のような機能もあります。
この機能のことをEXCELでは「フィルタ」機能と呼びます。フィルタを使用すると、EXCELが大量のデータの中から、条件に合った行のみ表示してくれるようになります。
引き続き、練習問題の「練習2」シートでフィルタを試してみましょう。
フィルタを使えるようにするために、最初にフィルタの有効化をする必要があります。
例えば「上生菓子詰合」に関するデータを検索してみましょう。
画面には「上生菓子詰合」を含むデータだけが表示された状態になります。
なお他のデータは見えなくなっているだけで、削除されたわけではないので安心してください。フィルタを解除すれば元に戻ります。
このようにフィルタが有効な状態なら、
ボタンを押して検索条件を記入すれば、簡単に必要なデータを検索できます。フィルタした結果をさらに並び替えることもできます。合わせ技です。😲
操作方法は同じで、例えば「担当者」欄のセルを1つクリックし、「並び替えとフィルタ」→「昇順」などを選択するだけです。
下の例は実際に「担当者」で並び替えを行った例です。フィルタで検索した結果が、さらに担当者順になるよう整理されている様子が分かります。
検索結果をきれいに整頓することができるので、ぜひ「フィルタ」+「並び替え」の合わせ技を活用してください。
例えば「上生菓子詰合」の中で、さらに「佐々木雅子」さんが担当したものだけ検索したい場合、以下のように操作します。
これで画面上には「上生菓子詰合」かつ担当者が「佐々木雅子」さんのデータがのみが表示された状態になります。
このようにフィルタの条件を複数回設定すると、検索条件が重なりあい、○○かつ××かつ□□……のように絞り込み検索となるのです。
絞り込み検索をやめて新たに別の検索を行いたい場合などは、以下のように操作します。
これで、今までの検索条件がクリアされ、検索をかけていない状態に戻ります。
検索条件のクリアを行わないと、検索操作を行うたびに条件が追加されて厳しくなっていくため、やがて1件も該当データが見つからない状態になってしまいます。
検索をやりなおす場合は、一旦クリアを行ってから別の検索を行うようにしましょう。
フィルタでは、単純なキーワード検索以外に、さまざまな種類の検索を行えます。
例えば「注文日」欄なら日付に関する検索ができ、「売上金額」欄なら数値に関する検索ができるという具合です。
書かれているデータに応じて、自動的に最適なものが提案されます。
データの形式 | フィルタ名 | 解説 |
---|---|---|
日付 | 日付フィルタ | 特定期間の日付のみ検索できます。 (例)来月の日付を検索 |
文字 | テキストフィルタ | 文字の一部分を検索できます。 (例) 山田~ で始まるものを検索 |
数値 | 数値フィルタ | 「トップテン」で上位/下位n件の情報を検索できます5)。 その他「指定の値以上」のような範囲検索ができます。 |
とくに数値を検索する場合は「10,000円以上」のような範囲検索をすることが多いので、「数値フィルタ」を使う機会は多いでしょう。もし普通に検索欄に「10000」などと入力すると、10000円ピッタリのものしか見つけられないので、「数値フィルタ」を使わないと厳しいです。
余裕があれば試してみましょう。
フィルタによる検索作業を辞めて通常の状態に戻るには、表の中のクリックした状態で、再び「並べ替えとフィルタ」→「フィルタ」を選択します。
見出し部分の ボタンが無くなったらフィルタ機能が解除された状態です。
検索で絞り込まれて見えなくなっていたセルも全て表示される状態に戻ります。
このように「フィルタ」機能を使えば、必要なデータを素早く見つけられます。データ検索にぜひフィルタを活用してください。
フィルタは並び替えと相性が良いので、フィルタした結果は自由に並び替えできます。
3つめの便利機能です。
「条件付き書式」機能を使うと、設定した条件に合致したセルに、自動的に色が塗られます。
データの特徴が視覚的に分かりやすく表示されるので便利です6)。
例えば、「売上金額」が10万円より大きいものに、自動的に色がつくようにしてみましょう。
詳しい操作方法は、下の動画で確認できます。
以上で、「売上金額」欄の値が「100000」より大きいセルに自動的に明るい赤の背景色が塗られます。
注意を要するデータに自動的に色が付いてよく分かる見た目になるので、ぜひ活用してください。
値を編集するなどして売上金額の数値に変化が生じた場合は、それに合わせて色も自動的に変化します。
例えばデータを書き換えて100000以下になるようにすると、赤い背景色は自動的に消え、100000を超えると再び赤い背景色が塗られます。
色の変化で現在の状況が分かるので便利です。刻々と状況が変化するようなシーンでも、自動的に色が変化するので役に立つでしょう。
条件付き書式では、書式を変える条件をさまざまに設定できます。
「条件付き書式」ボタンをクリックして現れるメニューで条件を選べます。
条件の種類 | 解説 |
---|---|
セルの強調表示ルール | 指定の条件にマッチした範囲の色が変えられます。 |
上位/下位ルール | 上位・下位10件のような条件で色を変えられます。 |
データバー | 数値の大きさに合わせて横に伸びる、簡易的なグラフを表示できます。 |
カラースケール | 数値の大きさに合わせて色が変化するようにできます。(青→赤 など) |
アイコンセット | データの大きさに合わせて 特徴的なアイコンを表示できます。 |
メニュー内に書かれている絵を見れば、だいたい結果が予想できると思います。
その他、より詳細な条件を決めることもできます。
例えば売上金額が10万円以上のものに色を塗る場合、以下のように選択します7)。
これで、より詳細に条件やセルの書式を変えられます。他にもさまざまな条件が用意されているので、ぜひ活用してみてください。
同じセルに複数の条件付き書式の設定を行うと、その効果は重なり合います。
例えば設定を間違えた場合、もう一度同じ範囲に新しい条件付き書式の設定を行うと、間違えた設定と、次に行った設定が重なり合うので、見た目に混乱が生じることでしょう。
条件付き書式の設定は、セル上でDelete
キーを押すなどしても残り続け、消すことができませんので、自分がどれぐらい条件付き書式の設定を行ったのか分からなくなるかもしれません。
現在の条件付き書式の状態を知りたくなった場合は、以下の操作で確認できます。
このようにして現在設定されているルールを確認したり、不要なルールを削除したりできます。
もし条件付き書式の設定を全て完全に消去してしまいたい場合8)は、以下の方法で行えます。
条件付き書式を使えば、条件に応じてリアルタイムにセルに色を塗ったりして目立たせることができます。
IF関数を設定するより手軽で、状況が視覚的に分かりやすくなる効果がありますので、ぜひ活用してください。
本日最後の便利機能です。(あと少しなので頑張りましょう😆)
「小計」機能を使うと、データを項目ごとにグループ分けし、そのグループごとに「合計」や「平均」といった小計を求められます。
誰がどれぐらい商品を売り上げているか、どの商品がどれぐらい売れているか、といったことを調べる際に便利です。
小計を始める前には準備が必要です。
小計機能を使う前の準備として、グループ分けしたい項目に対して、あらかじめ「並び替え」し、整理しておく必要があります。
たとえば「製品名」ごとに小計したいなら「製品名」で並び替えをしてから、「担当者」ごとに小計したいなら「担当者」で並び替えをしてから小計を始める必要があります。
並び替えを行わないと計算が乱れ、正しい小計を得られません。
引き続き「練習2」シートで作業を行います。
たとえば「製品名」別に「売上金額」を「合計」してみましょう。
これで小計が有効になり、「製品名」別に「売上金額」を「合計」することができました。
集計額を見ながら、製品別にどの程度売れているのかを比べられます。一番の売れ筋商品は何なのかなど調べるのに良いでしょう。
小計の設定パネルでは、独特の順番で設定を行う必要があります。
①何別に集計するかを「グループの基準」で、②どんな計算をするかを「集計の方法」で、③どのデータを集計するかを「集計するフィールド」で指定すると良いでしょう。
設定項目 | 意味 |
---|---|
グループの基準 | 何別に集計するか |
集計の方法 | どんな計算をするか(合計・平均など) |
集計するフィールド | 計算する対象 |
ちょうど英語の語順のような「主語
→述語
→修飾語
」の流れに似た設定順序だと考えると分かりやすいでしょう。
上の図なら「製品名
ごとに、合計
せよ、売上金額
を」という順番で設定しているので、製品名
別に売上金額
を合計
してくれるというわけです。
実は「データ」メニューには「小計」の他に「並び替え」や「フィルタ」ボタンもあります。これらの機能を使用したい場合は、「データ」メニューを開いておけば1ボタンで呼び出せるので、さり気なく便利です。
ただし「条件付き書式」だけは仲間外れなので、「ホーム」メニューに戻ってください……😆
小計を実行すると、ウインドウの左端に「アウトライン」と呼ばれる列が作られます。
ボタンや ボタンがあり、これらをクリックすると、詳細な情報を折りたたんだり展開したりできます。不要な情報を隠してすっきりした見た目にできます。
左上には
と書かれたボタンがありますが、これらをクリックすると、総合計だけを表示、項目ごとの合計まで表示、全ての情報を表示、といった風に表示を一括で切り替えられます。詳しい動作の様子は下の動画を見てもらうと、よく分かるでしょう。
データの量が多い時は、たとえば左上の
のボタンを押して、小計の結果だけを表示するようにすると状況がよく分かるかもしれません。例えば、担当者別の小計と、製品別の小計を両方調べたいかもしれません。
しかし初期設定では、小計を行うと、以前に行っていた小計の内容はかき消されて、最後に設定した小計だけが残る状態となります。
これは集計パネルで設定を行う際に「現在の小計を全て置き換える」設定が有効☑になっているからです。
このチェックをOFFにすれば、複数の小計を重ね、多重の小計がとれるようになります。
もし複数の小計を重ねたい場合は、以下のように操作します。
データは最優先で担当者、次に製品名で並び替えられており、すでに担当者別で小計がとられているものとします。
上の例が二重に小計されている状態です。担当者ごとに小計が取られていますが、一人の担当者に注目すると、さらに製品名ごとの小計が含まれる二重小計の状態になっている様子が分かります。
小計をやめたい場合は、以下の操作で小計を無効にできます。EXCELは小計を取る前の通常の状態に戻ります。
少し怖い名前のボタンですが😲、入力データが消去されたりはしないので安心してください。小計をとる前の状態に戻るだけです。
このように小計機能を使えば、グループごとのデータの合計などを簡単に計算できるので、状況を分析する際などに役に立ちます。
ただし小計を始める前に、グループごとに「並べ替え」を行っておくのを忘れないでください。
今回はデータを整理するための4つの機能を紹介しました。
たくさんのデータを整理したり分析したりする際にはこれらの機能をぜひ活用してください。
今回紹介した4つの機能には、それぞれ相性があるので注意してください。
各機能を併用する場合は、上記の関係に気をつけてください。奇妙な三角関係ですね。😆
以上の内容を踏まえて、EXCEL練習問題のすべてのワークシートの設問に解答して下さい。
解答が終わったら、「学生番号 氏名 集計」というファイル名で保存し、moodleに提出してください。
例: 123456 山田太郎 集計.xlsx
提出期限は、次回の授業日いっぱいとします。
学習支援システム moodle
https://cclms.kyoto-su.ac.jp/
以上で今回の作業は終了です。おつかれさまでした。
今回紹介したデータ整理に関する機能は、どれも実用性が高いものかと思います。
例えば持っている本のタイトル管理や、どこまで読んだかの管理などに使ったり、簡易的な家計簿・支出管理に使ったり、仕事でも小規模の商品・在庫管理や発注管理、やることリストなどに活用したりと、様々な用途で使えるでしょう。
ぜひ活用してください。