文章を作成する際、ビジネス文章などであれば文字だけで完成する場合もありますが、図などを使って分かりやすく仕上げたい場合もあるでしょう。
今回は図などの使い方にスポットを当てて解説をしていきたいと思います。1)
ここではWORD上でさまざまな図形を扱う操作を演習します。そして図形を組み合わせた課題を制作し、提出します。
ただ画像を表示させるだけでなく、図を重ねて表示したり、文章に重ならないように配置したり、その他さまざまなテクニックも紹介します。
教科書がある場合は第3章15「画像や図形を活用した文章の作成」(P.77)も合わせて参照してください。
WORD上には文章以外にも、図形や画像などをページ上に配置できます。ここではそういった文字以外の物を総称して「オブジェクト」と呼びます。
オブジェクトには図形、画像、SmartArt、グラフ、ワードアートなど、様々な種類があり、これらのオブジェクトを利用して、WORDの文章をさまざまに飾れます。
要するに文字以外の図形とか絵とかをひっくるめて大雑把に「オブジェクト」というわけです。
今回はこのオブジェクトの操作が主な内容となります。
WORDの初期設定では、オブジェクトを自由な位置に配置できないことがあります。位置を動かそうとしたときに周囲の文字に干渉して動けなくなるからです(困った仕様です)。
その場合は以下の設定を行ってください。
この設定によって文字の前面にオブジェクトが配置されるようになり、周囲の文字と干渉しなくなり、オブジェクトを自由に移動できるようになります。
この周囲との干渉については、オブジェクトをクリックし「書式」タブ →「文字列の折り返し」でさらに細かく調整することもできます。
詳細は後述する文字列の折り返しの項目を参照してください。
図形を扱った作業を行う場合は、事前に上記の初期設定を行っておくと便利です。
図形などさまざまなオブジェクトを描く機能は、WORDウインドウ上部の「挿入」タブに多くが集まっています。
この挿入タブからいろいろなオブジェクトをWORD文章上に作成できます。
みなさんもWORDで新規文章を用意し、さまざまなオブジェクトを作る操作を試しましょう。
もし操作を間違った場合は、「元に戻す(Ctrl
+Z
)」を使えば以前の状態に戻せます。
失敗したら気軽に戻せるので、いろいろ試してみましょう。
WORDは文章中に四角形、三角形のような、さまざまな「図形」を描くことができます。
作成した図の色などを調整するには、図をクリックした時にWORD画面の右上に現れる「書式(図形の書式)」タブをクリックします。
Shift
キーを押しっぱなしでドラッグすると、縦横比を保ったまま拡大縮小できます。Shift
キーを押しっぱなしでドラッグすると、回転角度に制限が付き、90度や180度といった角度に合わせて回転しやすくなります。なおこれらの操作は、以下で紹介する「ワードアート」や「テキストボックス」などを含め、他のオブジェクトに対しても同じように行える共通の操作です。
ワードアートとは美しい装飾デザインが施された文字列です。タイトルロゴなどを作成する用途に向いています。
ワードアートは以下のようにして作成できます。
テキストボックスは文字を入力できる四角形です。文章中の好きな位置に文章を配置できます。
ワードアートと似ていますが、こちらは長めの文章を入力するのに適しています。
例えばコラム欄のような独立したボックスを作ったり、簡易的な二段組みレイアウトを作ったり、横書き文章の中に縦書き文章を混ぜたりする用途に使えます。
テキストボックスは以下のようにして作成できます。
応用すると、さまざまな箇所でテキストボックスを活用できるでしょう。
たとえばこういったコラム欄的なモノも
テキストボックスで作れます。
テキストボックスは完全に透明にすると、背景に自然に重なるようになります。これが「透明テキストボックス」です。
「書式」タブで「塗りつぶしの色」を「塗りつぶしなし」に、「図形の枠線」を「枠線なし」に設定すると透明にできます。
透明なテキストボックスで書き込んだ文字が、絵の上に自然に重なっている様子が分かります。
ほかの文字や図形と重ねても違和感がないので、テキストボックスの存在を意識させない自由なレイアウトができます。
事実上どこにでも文字が書き込めるわけですね!
テキストボックス内で縦書きすることもできます。
縦書きテキストボックスを新しく作るには、「挿入」タブ→「テキストボックス」→「縦書きテキストボックスの描画」で作れます。
すでにあるテキストボックスを縦書き化するには、テキストボックスを選択した状態で「書式」タブ→「文字列の方向」→「縦書き」を選択します。
上の例では、テキストボックスに以下のような設定を追加しています。真似してみたい方は参考にしてください。
テキストボックス内の文字のサイズを大きくすると、行間が自動的に調整され、大きく開いてしまう場合があります。
その場合は以下の設定を行って自動調整を無効にできます。
これで行間は必要最小限の大きさとなり、行間の不自然さを解消できます2)。
文字の大きさはそのままに、行間が詰まっている様子が分かります。
ちなみに、さらに行間を細かく調整したい場合は、「行間」を「固定値」に設定し、「間隔」欄を使って自由に調整できます。 ただし狭くしすぎると文字同士が重なってしまうので様子を見ながら調整しましょう。
この行間の調整方法は、テキストボックスの外にある通常の文章に対しても同じように有効です。
WORDには「オンライン画像」と呼ばれる機能があり、ネット上からイラストを取得するでき、簡単に文章中にイラストなどを挿入できます。
オンライン画像は以下のようにして作成できます。
なおパソコン上に画像などが保存されている場合は、「挿入」タブ→「画像」→「このデバイス」で画像ファイルを選択して文章中に挿入することもできます。
その他、ほかのアプリケーションで作成した画像を「コピー」と「貼り付け」を使って文章中に挿入することもできます。
「図形」、「ワードアート」、「テキストボックス」などの図形は影を付けたり、ぼかしたり、3D効果によって立体的な演出を追加したりできます。
簡単な操作で立体感のある見た目の良いデザインを作れます。
オンライン画像や挿入した画像については、色の濃さを変えたり、タッチを加えたりして、様々な特殊効果を加えられます。
特殊効果は以下のようにして設定できます。
これらの特殊効果は、写真やイラストに対してのみ有効です。
たとえば文章の背景に写真を置く時は、色を少し薄く調整し、文字が読みやすいようにすると良いでしょう。
写真の背景が邪魔な場合は、背景を削除すると背後の画像などと自然な重なりを表現できます。
背景の削除は以下のようにして設定できます。
もし期待通りの効果が得られなかった場合は「元に戻す(Ctrl
+Z
)」を使って以前の状態に戻し、やりなおしましょう。
「文字列の折り返し」とは、図形とその周囲の文字や他の図形との重なり方を調整する機能です。
図形の背後に文字が隠れてしまわないよう調整したり、図形の形に添って文章を記入したりできます。
設定を調整するには、図形をクリックし「書式」タブ →「文字列の折り返し」で行います。その他、図形を選択した時に右上に現れる「レイアウトオプション 」ボタンでも設定が行えます。
「文字列の折り返し」にはいくつかの設定があり、それぞれ異なった効果があります。
Backspace
キーやDelete
キーで文章を編集すると図も一緒に移動しますし、文字の書かれていない位置には図形を配置できません4)。
「文字列の折り返し」は、主に文字と図形の重なり方を調整するための機能でしたが、もう一つの効果があります。
それは上にも書きましたが、「図形を自由に配置できるようになる」というものです。
WORDの初期設定では、図形などを作成した際、「文字列の折り返し」が「行内」設定になっていますが、そのままでは周囲の文字が干渉し、図形を自由な位置に配置できません。そのような場合は「文字列の折り返し」設定を「前面」「四角」「外周」のいずれかに変えれば、自由に配置できるようになります。
例えば下の動画は図を配置した状態の例です。通常はドラッグなどで図を動かす際に制限がありますが、「文字列の折り返し」を「前面」にすると自由に動かせるようになっている様子がわかります。また「四角」に設定すると、文章が図に重ならないように配置される様子が分かります。
「文字列の折り返し」は、WORDで図形を自由な位置に配置するための基本テクニックです。ぜひ活用してください。
図形同士はそれぞれ作成した順番に重なり合いますが、重なり方を後から変更することもできます。
「最前面に移動」の場合、指定した図形は一番手前に重なります。逆に「最背面に移動」の場合、指定した図形は一番奥に重なります。
たとえ「最背面に移動」を行っても、図形は通常の文字よりは手前に表示されますが、「順序」を「テキストの背面」または「書式」→「文字列の折り返し」→「背面」に設定すると、通常の文字よりさらに奥に図形を配置させられます。背景写真を設置する際などに便利です。
図形の数が多い場合、マウスでの移動が面倒になったり、位置がズレやすくなったりしますが、「グループ化」を設定すると複数の図形を1つにまとめられます。
グループ化は以下の操作で行なえます。
Shift
キーを押しながら複数の図形をクリックします。
移動したりコピーしたりする際も、グループ化したものは一つのオブジェクトして扱えるので、位置がずれたり、操作ミスをしたりしにくくなり、扱いやすくなります。
なおグループ化済みの図形を再びバラバラにするには、「右クリック」→「グループ解除(U)」をクリックします。
以上の機能を参考にしながら、はがきサイズの広告チラシを作成してみましょう。これが今回の課題です。
WORDは標準設定でA4用紙に印刷する設定になっていますが、今回は「はがき」サイズになるよう用紙設定しましょう。
もしA4サイズ以外の用紙に印刷したくなった場合は、上記のような設定項目で用紙のサイズを調整できます。
Mac版WORDで、もしはがきサイズが存在しない場合は、「ファイル」→「ページ設定」を開き「用紙サイズ」欄で「カスタムサイズを管理」を選択すると、自由なサイズを設定できます。はがきのサイズである 幅100mm x 高さ148mm を設定しましょう。
ページ全体の背景色を設定したい場合は、「デザイン」タブ→「ページの色」で好きな色を選べば設定できます。
部分的に色を変えたい場合は、大きな四角形を作成して色を塗り、「最背面に移動」などで一番奥に配置する方法もあります。
「ページの色」で背景色を設定しても、実際に印刷すると背景色が反映されず、背景が真っ白になる場合があります。その際は「ファイル」→「オプション」でWORDの設定画面を開き、「表示」→「背景の色とイメージを印刷する」チェックを☑ONにする必要があります。
自由なデザインで広告チラシを作成してください。
ただし広告チラシと言うからには、お客さんをお店に呼ぶために必要な情報を揃えておかないといけません。
以下のような内容を、はがき1枚に収まるように配置しましょう。
家具・インテリア売り尽くし 驚きの価格で総売りつくし
商品やセールの内容がよく分かる文言を記入しましょう。ワードアートを使うなどして、大きく書くと効果的です。
家具の山田 〒602-1234 京都市下京区123-4 TEL. 075-123-4567
実在しそうな架空の店舗名を記載し、お客さんからの問い合わせに応じられるようにしましょう。細かな情報はテキストボックスを使って書くのがおすすめです。
10:00 AM ~ 9:00 PM
営業時間を書き記さないと、いつまでお店が開いているのか分からず、お客さんは困ってしまいます。お店に行ったら閉まっていた……なんて最悪ですね! 書きましょう。
もし定休日を設けたいなら、そちらも書くと良いでしょう。
売り出し期間 xx月xx日~xx月xx日
セールなどを行うチラシの場合は、セール期間を書いておかないとトラブルの元です。書きましょう。
小さなパーツを操作しづらい場合は、画面を拡大して作業すると良いでしょう。
画面の拡大率は、WORDのウインドウ右下にある拡大率ゲージを操作して調整できます。
あるいは、Ctrl
キーを押しながらマウスのホイールを転がしても画面を拡大縮小できます。
作業手順は、以下の流れを参考にすると良いでしょう。
これらの情報を全て記入の上、ハガキ1枚に収まるようにレイアウトし、学習支援システム moodle を使って提出してください。
提出するWORD書類のファイル名は、「学生番号 氏名 図形.docx
」とします。(例) 123456 山田太郎 図形.docx
学習支援システム moodle
https://cclms.kyoto-su.ac.jp/
moodleへの課題提出方法が分からない場合は、こちらに詳しい説明がありますので参照してください。
moodleに課題をアップロードする方法
提出期限は来週の授業日いっぱいとします。(moodleで確認してください)
以上で今回の作業は終了です。おつかれさまでした。