2004/08/25
■■■■ 京都部落問題研究資料センター メールマガジン vol.068 ■■■■

□人権啓発資料表彰□
    人権教育啓発推進センター広報誌『アイユ』158号(2004年8月)

 私個人は、あまり「人権啓発」というものが好きではない。必要性は認める のだが、どこか正義のにおいがして、それだけで食わず嫌いになってしまう。 子どもが、学校で書かされた人権作文や人権標語の文集を持って帰ってきたり すると、「みんな仲良く」とか「ナンバーワンでなくオンリーワン」などとい う美辞麗句を一読してげんなりすることが多い。しかし、そうした人権ずれし た精神を少し清浄にしてくれる作品もあるものだ。  財団法人人権教育啓発推進センター(文部省と法務省所管)が月に1回発行 している広報誌『アイユ』158号(2004年8月)に、「平成16年度人権啓発資料 表彰」という記事があった。各地で出されている啓発のポスターや映画の中か ら優秀作品を法務大臣が表彰するという企画である。本年度の最優秀作品に輝 いたのは、岡山県保健福祉部長寿社会対策課が『山陽新聞』2004年2月15日号 に全面広告として掲載した、老人虐待防止の訴えである。顔を両手でおおった おじいさんの辛そうな表情(目も口も鼻も隠れて見えないのだが)が大写しに なっていて、その横に「『高齢者虐待』という言葉をご存知ですか?」と問い かけている。下のほうには、「高齢者への虐待がいま、大きな社会問題となっ ています。…高齢者虐待には大きく分けて次の5つがあります。 身体的・心 理的・経済的・性的虐待、世話の放棄」とだけ書いてあるシンプルなものであ る。しかし、何かはっとさせられるものがあり、おじいさんの年老いた手の奥 にある容易ならざる状況を想像させる。『アイユ』紙面ではハガキ大くらいに 縮小されていて、なおこれだけインパクトがあるのだから、全面広告の実物は、 さぞ印象深いものだったろうと思う。教育や行政で、啓発をどうして進めたら いいかと思案している人には、一見の価値がある。(灘本昌久)

※ 財団法人人権教育啓発推進センター
   <http://www.jinken.or.jp/>

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