ヒアラブルデバイスの開発

 ウェアラブルデバイスの耳版として,ヒアラブルデバイスが注目を集めています. ヒアラブルデバイスは,マイクロフォン,スピーカ,そして音声信号処理機能を備えた機器で, 我々の聴覚を補助,あるいは拡張することを目的としています.
 その役割は,環境ノイズの除去,外国語の自動翻訳,ユーザの健康管理,音響ARなど多岐にわたります. もちろん,音楽を聴いたり,スマートフォンと連携して電話による通話も可能です.
 最新の音声信号処理技術をヒアラブルデバイスに搭載することで,より高度な機能を提供できます.

 ヒアラブルデバイスは,補聴器のような小型のデバイスです. 我々の研究室は,ヒアラブルデバイスの直接的な製造技術を持ちませんが, 右の図ようなシミュレータによる実験を行うことで, 音声信号処理技術をヒアラブルデバイスに搭載した場合の効果を検証することができます.
 実際の運用では,ヒアラブルデバイスによって処理された音が直接耳に届きます. シミュレータでは,人の頭を模擬したダミーヘッドと呼ばれる装置で,鼓膜位置の音を取得します.



 ダミーヘッドは,耳の内部の鼓膜位置付近にマイクロフォンが設置されており,人間の鼓膜位置の音を擬似的に取得することができます.
 ダミーヘッドの耳に,「マイクロフォン一体型イヤフォン」を追加設置することで,ヒアラブルデバイスのシミュレータとして機能させることができます.
 マイクロフォン一体型イヤフォンは,外側にマイク,内側にイヤフォン(スピーカ)をもつデバイスです.
 外側マイクで取得した音を,信号処理装置に送り,処理後の出力を内側イヤフォンから放射します. ダミーヘッドの内部マイクで,鼓膜位置の音を取得・分析することで,ヒアラブルデバイスをシミュレートできます.

 右の図は,ヒアラブルデバイスのシミュレータとして,ダミーヘッドを利用している実験風景です.
 ダミーヘッドの内部マイクで取得した音声を,分析用PCで録音しています.
 ここで,DSP開発用PCでは,DSPのプログラミングを行い,様々な処理を実行させます.

 製品化までを意識し,高性能音声信号処理システムのVLSI化を目指します.
 VLSI化を見据えて,DSPをFPGAに置き換え,より高音質・高性能な信号処理システムを開発します.





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