ファッサード

ファッサード　ファッサード

《ファッサード》

1　右から左へ。主なる神に表の穂を捧げるカインと仔羊をいけにえに捧げるアベル。 2　カインによるアべル殺し。 3　牡鹿に弓を射るケンタウロス。 4　バラームとその雌ロバ。 5　東方の三博士（王）の礼拝。　　（湟野注「タンパン右部分『ヨセフの夢』」）大きなフリーズは左から右へ読むべきで、聖週間（復活の前の1週間）の出来事が、枝の日曜日（キリストが受難を前にしてエルサレムに入城した日）から復活の朝、聖女たちによる遺体のない墓の発見までが繰り広げられている。 6　キリストのエルサレム入城（前進する供の者の写実性に注目せよ）。 7　裏切りで得た金を返すユダ。 8　神殿の商人たちを追い払うイエス。 9　聖ペトロにキリストをすぐに否認するとつげるイエス。 10　最後の晩餐の日、使徒たちの足を洗うキリスト。 11　最後の晩餐。 12　ユダの接吻。 13　キリストの鞭打ち。 14　 15　キリストの前にひざまずくマグダラのマリア。 16　キリストの礫刑（息をつこうとして十字架の足乗せをふんばる十字架上のキリストの、息が切れようとする死の解剖学的な写実性に注目せよ）。 17　量り売りで香水を買う聖女たち。 18　墓のそばの聖女たち。 19　使徒たちに姿を現すキリスト。 20　四大福音史家に囲まれた栄光のキリスト。美術史家は彫刻を様式によつ五つのグループに分げているが、ただ人、名前がわかっている工匠はブルヌスBrunusだけである。　ブルヌスの作品は、マタイ（22）、バルトロマイ（十二使徒のー人）（23）、福音者ヨハネ（26）、大ヤコブ（初代エルサしム司教で、キリストの兄弟ともいわれる小ヤコブと区別するため「大」をつける）（28）、パウロ（29）で、特徴は、様式が古代風であり、重厚で簡素である。　「聖トマス」の工匠の作品は、トマス（24）、小ヤコブ（25）、ペテロ（27）、中央入口の浅浮彫（1－2－3－4）である。この彫刻家は西フランスで仕事をしていたらしい。特徴は、典型的なロマネスク様式の作風で、直線的で生き生きとした処理をしている。　「まろやかな」工匠の作品は、使徒たち（30－31）、中央入口の左手の隅切り（910）、北入口のタンパン（5）と櫃（まぐさ）（6）である。特徴は、腕や脚のまわりの衣服をしなやかな波形のひだで表現している。　「生硬な」工匠の作品は、使徒たち（32－33）、南入口（15－16－17－18－19）である。特徴は、衣服の波形のひだがたっぷりとして、生硬で量感があり、ときには螺旋状に処理されている。　「聖ミカエル」の工匠の作品は、中央入口の左右にあるエンタブレチュア（7－8と13－14）、竜を倒す聖ミカエル（旧約聖書においてイスラエルを守護する天の軍団の長）（21）である。特徴は非常に表現力にあふれる力動的な様式である。

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