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論理パズルとパズルの論理



このページは
「論理パズルとパズルの論理」
八杉満利子+ 林晋著, 遊星社刊
についての情報を提供します。

イラスト=おやまだ祥子

CONTENTS

表紙と目次
内容紹介
論理パズル・ソルバー PCalc
論理パズル3題

内容紹介
このパズルを解けますか? この屁理屈に勝てますか?

有名な超難問論理パズルをスイスイ解いたり、 難攻不落の屁理屈に勝つ方法を説明するやさしい論理の本です。

予備知識はいりません。

論理パズル・ソルバーPCalc

PCalcは第6章の○×判定ゲームのアルゴリズムを使って、 論理パズルを自動的に解くJavaアプレットです。 論理パズルのほとんどはこのソフトで解けます。

作者は神戸大学大学院の住友亮翼さんです。
PCalcは林晋研究室の証明アニメーションプロジェクトで住友さんが開発している ProofWorks という ソフトを元に作られています。

論理パズル3題

運転手はだれ?

新幹線ひかり1000号には,運転手,車掌,車内販売係の
佐藤さん,鈴木さん,田中さんが乗っています。

でも,名前と,職業の順番は一致していないので注意してください。
たとえば運転手の名前が佐藤さんとは限りません。
佐藤,鈴木,田中のどれかなのですが,どれであるかはわからないのです。

同じひかり1000号のグリーン車には,乗務員と同じ名前の
佐藤先生,鈴木先生,田中先生という三人のお医者さんが乗っています。

A1.田中先生は大阪に住んでいます。
A2.車掌さんは京都と大阪のちょうど真ん中あたりに住んでいます。
A3.鈴木先生の年収は,ちょうど2千万円です。
A4.グリーン車の三人のお医者さんの一人は,
      車掌さんのご近所に住んでいますが,年収は車掌さんのちょうど3倍あります。
A5.佐藤さんは先日,車内販売係の人にオセロで勝ちました。
A6.車掌さんと同じ名前のお医者さんは京都に住んでいます。

運転手はだれでしょうか?
「論理パズルとパズルの論理」p.105より

 

天気の日は?


 
夕方,お父さんから電話がありました。

お父さん「今駅についたけど,なにか買って帰ろうか?」

お母さん「別にいいわよ。雨か降ってるから,早く帰ってらっしやい」

お父さん「あ,そう。じゃ雨が降ってなかったら早く帰らなくていいんだね?」

お母さん「?」

あなたは,お父さんの屁理屈に勝てますか?
「論理パズルとパズルの論理」p.15より

 

天国への道

これはヨーロッパに古くから伝わるお話です。 人は死ぬと天国への長い道のりにつきます。 それは雲をぬけて天にとどく長い長い階段です。 いくら魂だけになって体が軽いといっても, 長い階段はつかれてしまいますね。 さいわい天国への道には, 途中に踊り場のような花園かあって, ちょっと一休みできます。 そこには美しい花か咲き乱れ, 冷たくきれいな泉もあります。

でも油断してはいけません。 実はその花園は天国へ行けるかどうかが決まる関所なのです。 花園から続く道は二つあり, これから上はそのうち一方を選んで昇っていかなくてはいけないのです。

一方は,天国に通じています。 では,もう一方は? もう一方の階段は地獄への道なのです。 そちらの階段を昇っていくと, 階段が崩れて地獄へまっさかさまなのです。

道案内の標識などはありません。 地獄への道がいつ崩れるかはわかりません。 道を引き返すこともゆるされません。 これでは運を天にまかせるしかありません。 みなさんは,神さまは意地悪だと思うことでしょうね。 でも,そうでもありません。 花園には二人の道案内の天使が遊んでいて, この天使に道を聞けるのです。

天使への質間は,一人にだけ,しかも, 1回だけと決まっています。 二人に同時に質間をしてもソッポを向かれるし, 一人が答えた途端に,二人とも消えてしまうのです。 しかも,天使たちは,イエスかノーでしか答えてくれません。

天使は不親切ですが, さいわい道は2本しかありません。 どちらの天使でもいいから一人を選んで, 「天国への道は左ですか?」と聞けばよさそうです。 答えがイエスならば左の道に,ノーならば右の道に進めばよいのですから。

ところが,神さまはやっぱり意地悪なようです。 実は,天使の一人は悪魔が変装しているのです。 本当の天使は正直に答えてくれるからよいのですが, 悪魔の答えはいつもウソなのです。 たとえば, 悪魔に「あなたは本当の天使ですか?」と聞くとイエスと答えるし, 「1+1は2ですか?」と聞けばノーと答えるのです。 ですから,もし間違えて悪魔に道を聞いてしまったら, 階段が崩れて地獄にまっさかさまです。

いったい何と聞いたら天国への道がわかるのでしょうか。

「論理パズルとパズルの論理」p.134より


Susumu Hayashi
Department of Computer and Systems Engineering
Kobe University
hayashi@pascal.seg.kobe-u.ac.jp