仏教の世界観A

講義目的
 飽くなき欲望の追求と充足に向けて邁進する現代人の未来に思いを馳せるとき、
人は誰しも漠然とした危機感を持つ。人類の精神の荒廃に歯止めがかかる日がい
つか来るのであろうか。諸行無常・諸法無我・涅槃寂静という言葉から感じ取ら
れる心静かな世界、一切は相対的存在であるとして絶対的存在を否定する縁起思
想に見られる冷静沈着にして鋭く真理を照らす世界、一切衆生の救済のためひた
すら利他行に励む菩薩の世界、このような仏教の世界観を考察することによって、
物質文化の隆盛に反比例して細り続ける精神文化の復活の可能性を探る。仏教の
世界観Aにおいては、主に、原始仏典によって、ゴータマ・ブッダの覚りを中心
として講義する。必要に応じてビデオ教材を利用する。

授業内容

1 イントロダクション
2 仏教の根本思想
 (1)ゴータマ・ブッダの覚り
     (i)ゴータマ・ブッダという人
     (ii)ブッダの覚り
 (2)縁起
 (3)三法印(諸行無常、諸法無我、涅槃寂静) 

履修上の注意
 この講義では、学生諸君にとっては予備知識のないことが多いと思われるので、
とにかく授業を休まないようにすることが必要である。授業中に配布する資料は、
内容的に高度な思索を必要とする難解な経文であることが多いので、事前に必ず
熟読し、授業後に再読して自己の理解を確認することが求められる。

授業の到達目標
 ゴータマ・ブッダの思想の根本がどのようなものであり、人間にとって如何な
る意味を持つものであるかが自分の言葉で表現できるようになりたい。また、縁
起、涅槃といった重要な仏教用語について、その正しい意味を理解したい。

評価方法
 定期試験と平常点(出席点、授業時に提出するレポート)とによって総合的に
判断する。

教材
教科書:長尾雅人『仏教の源流---インド---』(中公文庫)
参考書:長尾雅人他『世界の名著1バラモン教典・原始仏典』(中央公論社)




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Last modified: Mon Mar 29 22:49:54 JST 2004