
物性物理特別研究について
平成13年度開講の物性物理特別研究についてのアウトラインを紹介する。
この特別研究では、固体の物性に関する基本的な理論を学習するだけではなく、コンピューターを使った計算物理学的手法により、現実の系での固体の電子構造、及びそれに付随した物理現象を理論的に研究することを目標にしている。計算物理は、コンピューターの性能の発達とともに従来の(純粋な)理論物理や実験物理と同等に物理の世界で認知されてきた第三の分野であると言える。ここでは、実験で観測される物性をモデルなどの理論解析を行うよりは、基本的な物理法則やそれを支える理論を、現実の系に近い形で数値計算を実行することにから、実験結果に対する定量的な解釈を与え、その理論範囲で実験を予測することである。さらに、実験との詳細な比較は、計算で仮定している理論の正当性を明らかにするだけではなく、新たな理論的な改良や物理的アイデアも提示してしてくれるであろう。
この特別研究では、情報工学科でのコンピューターのシステムや計算機科学科でのコンピューターの理論などのコンピューター自身の学問・研究ではなく、コンピューターを物性理論の計算のための「鉛筆と紙」のような立場で扱うことである。受講生は、コンピューターの基本的な使い方を習得していれば十分である。
計算物理の分野では、数値計算をするために最適なフォートラン言語が主流である。フォートラン言語は歴史が古く、計算科学の進歩とともにフォートラン66、フォートラン77、フォートラン90(95)と新化してきた。この特別研究では、フォートラン90の基礎も学習する予定である。(全国的に見て、理論物理を志す学生はフォートラン言語を取得することが今のところ望ましい。)
研究テーマとしては、「相対論的バンド理論によるf
電子系化合物の電子構造と磁性」となっているが、特別研究ではどのような分野のどんな勉強・研究をするのかを実際に知りたい学生さんは、研究室に是非足を運んでください。