Cyprus
The Island of Aphrodite

 地中海の東端、トルコの真横に位置するキプロス共和国。日本人にはあまり馴染みのないこの島で、IIPF(国際財政学会)の2006年大会が開催され、私は研究報告セッションの座長として参加しました。学会終了後に、空港までの道すがら、ギリシャ神話の女神アフロディーテが誕生したとされる古代からの遺跡の数々を観光してきました。
 古代ローマの時代より、この島は色々な国に占領されてきた歴史を持っています。中でも、1878年にイギリスがオスマン・トルコから行政権を獲得して以降の植民地支配の影響は現代までも色濃く残っており、通貨はポンドだし、自動車は左側通行、標識から食品に至るまでのほぼ総ての表示がギリシャ語と英語の両方で表記されています。そして、何よりも町の人口よりも多いんじゃないかと思うくらい大量のイギリス人観光客達がいます。
 そして、上の地図では見にくいのですが、ニコシアを通って島を上3分の1と下3分の2くらいに分ける「Limit of area under Turkish occupation since 1974」というラインがあります。1960年代にイギリスの支配から独立したものの、ギリシア系とトルコ系の間に対立が起こり、更にはギリシアとトルコの軍事介入まで起こり、1974年以降この島は二つに分断されているのです。北部は「北キプロス・トルコ共和国」として勝手に独立してしまっています。ただ、そういった深刻な状況を普段の人々の生活の中に垣間見ることはありません。
 
About Cyprus  もう少し詳しい情報をいくつかご紹介
 
キプロス・インフォメーションサービス 多分、日本語のサイトでは一番詳しいと思います。一応、アップデートもされてるみたいですね。
ただ、メールでキプロスの地図を送ってくれるように頼んだのに、結局届きませんでした...(-_-;)
外務省 キプロス事情、日本との関係などが載っています。
ウィキペディア 上で書いたキプロス問題(ギリシア系とトルコ系の対立)に詳しいです。
地球の歩き方 海外旅行の定番
   
Photography
 
今回の旅行は(というか、いつもそうですが)、渡航費をなるべく安くしたかったのでエミレーツ航空で行くことにしました。エミレーツの母港(ってゆーのか?)はドバイ空港。もんのすごく広い空港なんですがヨーロッパ、アジア、中東、アフリカと色んな国からの旅客機で大混雑。乗り換えの空港ターミナルも色んな国の人達でごった返してる感じでした。
着いた所は...ものすごい乾燥地帯。正直言って、キプロスがどんな国なのか全然前知識がないだけに、「予想外」というのとは違うのですが、こんなにも乾燥しきった地域だったとは、かなりショッキングでした。日本のように丘を削って道路を作っても、コンクリートで固めたりなんかしません。
8月27日から9月1日まで5泊したCtynthiana Beach Hotel。学会会場のホテルから離れていたので、シャトルバスに乗れないときは、町の路線バスを使って行き帰りしていました。
これがその時に乗ったバスのチケット。前払いでどこまで乗っても80セントとめちゃめちゃお得でした。時々、バス会社の上司らしき人が抜き打ち確認します。
学会会場のCoral Beach Hotel。リゾート地のしかもリゾートホテルで学会なんて...みんなちょっと気の抜けた感じになってましたね。去年の済州島もリゾート地でしたけど、会場自体はコンファレンス・センターでしたからねぇ。
学会のexcursionをパスして、Kato Paphos(いわゆるpaphosの旧市街)へ。気持ちの良いハーバーです。気温はそんなに高くないのですが、日差しがものすごく強いので歩き回っていると真っ黒になってしまいます。町中の緩い坂道を上っていくと、ギリシア正教の教会が。そして、さらにぶらぶら行くと、突然町中に古代遺跡が!さすが街全体が世界遺産なだけあります。確かに京都にも世界遺産はありますが、こっちのは「紀元前」ですからね...^-^)
ってなわけで...
The World Heritage Site
Paphos考古学遺跡。2ポンドの入園料を払い広大な荒野へ。総督の家、劇場跡、町を区分けする石塀の跡などが点在しています。きっとこれからもこの荒野の下から紀元前に造られた街が少しずつ姿を現してくるのでしょうね。2000年以上の時を経て、踏みしめてみました(^^下段左端) 
最後の4枚は「ディオニシスの家」の床にあるモザイクです。ビザンティン時代のものです。驚くほど精巧に様々な色の細かな石を組み合わせてあります。
Antiquity Route 日本大の宮里先生がアレンジしてくださったツアーに参加させてもらいました。ラルナカ空港まで帰るついでに観光していこうというものだったのですが、これがとっても素晴らしいツアーでした!
アフロディーテ神殿とPalaia Paphos博物館。アフロディーテ伝説の発祥となった神殿(紀元前12世紀頃!)Palaia Paphosは紀元前3〜4世紀頃の元々のPaphosの都市で、大きな地震後に人々はKato Paphosに移住したそうです。
アポロン神殿。太陽の神アポロンを祀り、TeraやAmathousなどの都市からPaphosへ旅する人達の休憩地点(オアシス)でもあった。古代、キプロス島の気候は温暖でこの辺りには木々が生い茂り、水をたたえた浴場で人々は旅の疲れを癒したとか。
Petra tou Romiou(アフロディーテ生誕の地)
愛と美の女神アフロディーテは、この岩に打ち寄せる波の泡から生まれたそうです(右側の写真の岩が三つ並んでいる方です)
Kourionの劇場跡
建設されたのは紀元前3世紀頃。今でもイベントに使われています。
イギリス占領時代の名残、イギリス軍キャンプ。彼らの日常生活はすべて有刺柵の内側の広大な世界で事足りる。
Limassol
ガイドさんの計らいで、昼食はリマソールの地元のTaverunで。食堂にいた地元の人達に好奇の目で見られながら(ちょっと恥ずかしかった)、おいしいMezeをいただきました。その後お城までの道中、キプロスの人々の生活に少しだけ触れられました。観光客向けの華やかな町並みとは違い、平均的なこの国の人達が決して経済的に豊かではないと知ることができました。