| 最初の出会い | 南蛮人の日本観 | 逆さまの国 | 日本の政治体制 |
日本は寒い国であり、その国民の主食は米で、牛乳を飲まないが、 猟の獲物や魚を食べる。きれいな住宅に住み、絹の被服を着るが、中国人より地味である。新しいものを 覚えるのが早く、彼らの振る舞いが親切である。彼らの最高の罰は強制的な自殺であり、それは腹を切る ことで行われる。性格の強い国民である。彼らの習慣や、食事のこしらえ方や、美の観念は、よその国民の それらとまったく逆さまである。その国に豊富な銀の鉱山がある。茶壷とか、小さな絵とか、武器とか、 そのような骨董品に彼らは大きな価値を与えている。
この日本の島の国民は、性質として良好であり、あまりにも親切で、戦争で 勇敢である。彼らの法規は偏らず、すべての違反者に厳しく適用される。彼らは人道に適った方法で支配 され、世界中で彼らよりも人道的な法律を以って正しく支配されている国民がないと思う。宗教面で、 彼らは迷信が深い。
我々ヨーロッパ人は互いに賢明に見えるが、彼ら日本人と比較すると、はなはだ野蛮で あると思う。私は真実、毎日、日本人から教えられることを認めている。私には全世界中でこれほど天賦の 才能を持つ国民はないと思われる。
日本人は、他のすべての国民とははなはだしく異なった儀礼や風習を有しており、まるで、他のいずれの国民ともいかにすれば順応しないかを 故意に研究したかと思われるばかりである。( . . . )事実、日本はヨーロッパとは全く反対に走った世界である。
国王(実際は藩主)が自分に叛き、または反逆を謀った貴族
(武士)を罰する方法は、次の通りである。王は、死ななければならないと定まった人を
解放して、何日に死ななければならないことを伝えさせる。反逆者は殿下の命令があれば、自殺すると答える。
もし王がこれを許せば、大なる名誉とし、最もよい衣服を着て、短刀を手に執り、胸より刺して
腹の下に至り、十字型に転じて、一側から他側に腹を切って死ぬ。このように死ぬ者は反逆の謗り
を受けないし、相続人とその家族は従前のような立場を維持する。
これはすべて悪魔の陰謀である。
日本人は大体たくましくて、我慢強く、戦争の苦労に慣れている。空腹、枯渇、寒さ、
猛暑、不眠その他の苦しみに対する忍耐力は信じられないほどである。あまりにも親切、行儀正しく、真剣、
敏感、好奇心があって、はっきりとものを理解する傾向があり、賢明にして話すより聴くことをましとする。
彼らの言語は重々しくて、品があり、豊かであり、単語の数や、表現の可能性と柔軟性の観点から、
紛れもなくラテン語とギリシャ語より水準が高い。
彼らの最も強い感情は名誉であり、天下のどの国民よりも野心的で傲慢である。人間として名誉の意識を
以って立ち、それによって支配される。手柄を立てて地位を固め、出世する。主として武芸に長じる。
十二歳の時分から武器を使い、寝るときまで手から離さないで、寝るときも枕元に置く、寝ながらも武士で
あることを示すように。
特権がある人々の大きな過ちは、地位の低い人々をあまりにも蔑視することである。農民や商人は使われる
ものとして軽視され、彼らに自由と権利を認めない。
キリスト教の意味で、日本人は自分を戒めることは不可能に近いが、他方彼らは自分の感情を
みごとに制止し、この観点からストア派の思想家に等しい。
喧嘩したり、殴り合ったりすることもめずらしく、悪口もあまり言わない。悪運に対する勇ましい態度は
立派である。敗北のときにも言動で恐怖を表すことがない。
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