演習では、おもに金融取引法および財産法と家族法の交錯領域を対象とする設例を用いて演習が行われる。本演習の第1の目的は、金融取引法および財産法と家族法の交錯領域における汎用性の高い基礎的な制度を正確に理解し、個々の要件を設例に当てはめて紛争解決に向けた論理を示す能力を確実に達成する点に求められる。講義で得た知識を実際の紛争解決に用いることのできる能力は法曹に必須であり、これを達成するには演習形式の授業が最も適しているからである。第2の目的は、民法演習Tとあわせて、汎用性の高い基礎的論点の理解を積み重ねることにより、民法全体の体系的理解ないし有機的関連性の理解を得る点に求められる。このような全体を見通す目を有していなければ、利益状況の錯綜する今後の社会において生じる新しい課題に対応できないと考えられるからである。さらに、全体的理解を基礎とした高度な応用力の養成もまた、本演習の目的に属する。複雑な事案に法を適用して解決を導く能力は、実務家として必須だからである。
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