民法の体系的・有機的理解、および紛争解決能力の修得である。ここにいう紛争解決能力とは、具体的な事実についてその基本的な法律関係を整理し、そこから法的論点を抽出したうえ、紛争解決に向けた法律構成を選択・提示し、要件・効果を含む規範を定立し、事実を規範に当てはめて結論を導く能力を意味する。この能力は、次の各要素に分けることができる。
@第1は、民法全体について重要な法概念および法制度を正確に理解すること、および、現在の判例・学説の到達状況を把握したうえで、そこにおける標準的な法理論を正確に理解することである。
A第2は、@の理解に照らして設例の法律関係・問題点を抽出し、紛争解決のための法律構成および要件・効果を示すとともに、設例の当てはめにもとづいて紛争の具体的解決を導くことである。
B第3は、複雑な事例に対して、修得した知識をもとに紛争解決の様々な可能性を考えることである。とくに、従来の実務や学説において争いのある問題、未解決・未知の問題について、自ら様々な可能性を考えて論理を組み立てることが求められる。
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