この演習では、おもに契約法、物権法、損害賠償法を対象とする設例が扱われる。第1の目的は、契約法、物権法、損害賠償法における汎用性の高い基礎的な制度を正確に理解し、個々の要件に設例の具体的事実を当てはめて紛争解決に向けた論理を示す能力を獲得すること求められる。講義で得た知識を実際の紛争解決に用いることのできる能力は法曹に必須であり、これを達成するには演習形式の授業が最も適している。第2の目的は、民法演習Uとあわせて、汎用性の高い基礎的な論点の理解を積み重ねることにより、民法全体の体系的理解ないし有機的関連性の理解をより確実にすることに求められる。全体を見通す目を有していなければ、利益状況の錯綜する紛争に対応できないと考えられる。さらに、第3の目的は、全体的理解を基礎とした高度な応用能力を要請することである。法に複雑な事案を適用して解決を導く能力は、実務家として必須だからである。
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