Lecture & Seminar      Lawschool

       2008 Legal Research  法情報学 
  
Purpose

 必要とする法情報の種類と収集目的に応じて、法情報の媒体を適切に選択し、目指す情報に効率的かつ迅速に到達できるスキルを修得することが目標である。

Summary

 法情報の収集に関する基本スキルを修得することを目的とする。すべての法解釈は、既存の法情報を入手することから始まる。膨大な蓄積のなかから必要とする情 報にいかに効率よく到達するかは、直接的には法科大学院における講義・演習の履修やレポート作成にとって重要であるが、しかし本来的には法曹として法実務 に携わるときにこそ有効かつ必須のスキルである(本講義が実務基礎科目に分類されているのはそのためである)。法情報の基本は法令、判決、文献(学説な ど)であり、それぞれ紙媒体(図書・雑誌など)と電子メディアがあり、それぞれが適合する収集目的や効率的な収集方法は異なっている。本講義では、そうし た法情報の種類と特徴について理解するとともに、基本的な実習を通じてスキルを身につけ、将来の法実務に向けての有益な基礎とする。

Plan


第1回 序説
 法情報収集の意義、収集スキルの必要性について理解する。また法情報の種類(とくに法令、判決、文献)と媒体の種類(紙媒体と電子メディア)を概観する。

第2回 法令1
 法情報の根源である法律の検索方法を理解する。また法律の条文の構造、条文の読み方、法令中の基本用語を確認する。学習用六法、中型六法を用いる。

第3回 法令2
 現実の法適用では、細かな法律、政令、省令、廃止法令が重要な意義を担うことも多い。六法全書、法令全書、官報、旧法令集などに基づいて、それらの検索方法を理解する。

第4回 判例1
 判例集の種類、収録分野、意義を概観し、それぞれの利用方法を理解する。とりあげるのは公式判例集、民間の判例集、各分野別の判例集である。

第5回 判例2
 最高裁判所判例集には、当該事件および法解釈について多くの情報が含まれている。登載されている判決を素材として、判決の読み方の基本を身につける。

第6回 判例3
 判例解説や判例評釈は、判例を検索する媒体となり、また判例の意義を知る手がかりとなる。具体例として、最高裁判所判例解説、主要な民間雑誌、判例百選等の解説集をとりあげる。

第7回 文献1
 文献には様々な種類がある。図書(体系書、概説書、注釈書、講座など)と定期刊行物(大学紀要、法律雑誌など)の主な種類と特徴について理解する。

第8回 文献2
 文献(学説など)は効率的な検索の媒体となる。とくに文献の凡例の利用、注における引用ルールを知り、関連する他の文献を、いわゆるイモヅル式に検索する。

第9回 文献3
 文献の網羅的検索は電子メディアだけでなく紙媒体でも可能である。法律関係雑誌記事索引、邦文法律雑誌記事索引、法律時報の文献月報と学会回顧をとりあげる。

第10回 メディア演習室実習1
 判例と文献の網羅的検索はいまや電子メディアが主流である。演習室の端末を利用して有料データベース(TKCローライブラリー、LLI法科大学院情報化支援システム)による検索をおこなう。

第11回 メディア演習室実習2
 演習室の端末を利用して、インターネット上で公開されている各種の法情報の収集をおこなう。インターネット版官報、法令データ提供システム、最近の最高裁判所判決、NACSIS-Webcat、NDL-OPAC、Booksなどをとりあげる。

第12回 メディア演習室実習3
 特定のテーマについて、第10回、第11回の授業を前提に、電子メディアおよびインターネットによる法情報の収集を実習する。

第13回 総合実習1
 指定課題ないし各自の選択課題について、必要な法令、判例、文献を収集する方法を検討し議論する。

第14回 総合実習2
 総合実習1の成果を踏まえて,必要な法令、判例、文献を実際に収集する。

第15回 総合実習3
 収集した法情報をもとにして各自が選択したテーマについて簡単な報告を行うことにより,それぞれの成果を客観的に比較・検討する機会を持つ。





Back