この講義では、「民法(財産法)の事例について相談を受けた」という設定で、法律関係とその解決を説明することを目指す。「結局、私は、誰に、どんな請求ができるのでしょうか?」に答えるのが、テーマである。
民法が好きな人、民法の実力を試したい人やみがきたい人は、是非、受講していただきたい。法科大学院への進学を考えている人や迷っている人、法律相談部の学生にも、受講を勧めたい。
事例を解決しようとすると、実は民法の知識・理解を「総動員」する必要に迫られる。世の中の事例は、ある部分は民法総則に関係するが、ほかの部分は物権法に関係し、別の部分は債権各論に関係する、というかたちであらわれるのが、普通だからである。たとえば、「買った物が期待したような品質ではなかった」という単純なケースを考えても、詐欺・錯誤とすれば民法総則、債務不履行とすれば債権総論、瑕疵担保や不法行為とすれば債権各論に関係する。また、買主が何を望んでいるのか(代金の返還なのか、物の修理なのか、金銭的な保障なのか)によっても、どの制度が関係するかが変わってくる。
この講義では、具体的事例を、最初から最後まで考え抜くことで、民法の知識・理解を確固にして、実際に使える理解に近づけることを目指す。そして、「民法はこんなに面白かったのか」と思ってもらえば、成功である。
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