民法(財産法)の事例について相談を受けたと仮定し、法的手段や解決をきちんと提示できるように検討してみたい。「結局、私は、誰に、どんな請求ができるのでしょうか?」という設定である。民法が好きな人や、民法の実力を試したい人・みがきたい人は、是非、受講していただきたい。法科大学院への進学を考えている人・迷っている人、法律相談部の学生も、歓迎する。講義の水準は、3・4年生を念頭においている。
事例をきちんと解決しようとすると、これまで学習してきた民法全体の知識・理解を総動員する必要に迫られる。世の中の事例は、ある部分は民法総則に関係するが、他の部分は物権に関係し、別の部分は債権各論に関係する、というかたちで現れるのが普通だからである。たとえば、売買した物が買主の期待に反した品質であったという単純なケースでも、詐欺・錯誤は総則、債務不履行は債権総論、瑕疵担保・契約締結上の過失・不法行為は債権各論に関係する。また、買主が何を望んでいるのか(代金の返還か、物の修理か、金銭的な保障か)によっても、どの制度が関係するか変わってくる。
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