民法W(金融取引法)は、債権債務の効力・流通・実現・担保を主たる対象とする。民法の領域としては、債権総論の多く、および担保物権のすべてが該当する(これに、民法総則の消滅時効が加わる)。債権の代表例である金銭債権を念頭においていえば、まさに金融取引・担保に関する基本制度を扱うことになる。現実の金融取引は、そうした制度の具体的利用ないし裏づけなしには成り立たないという点で、実務上極めて重要な領域である。
この講義は、その民法W(金融取引法)の前半に当たり、債権債務の効力・流通・実現(主に債権総論の部分)を担当する。債権総論は、民法の財産法のなかでも、抽象度の高い議論を必要とする部分があり、複数の制度の関連・交錯に配慮しなければならない点で、理解の難しい領域である。この講義の目的は、そうした債権債務の効力・流通・実現に関する基本理解を獲得し、2年次以降の発展的学習の基礎を身につけることにある。
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