2003/5/7 ■■■■ 京都部落問題研究資料センター メールマガジン vol.027 ■■■■

□番組レビュー□
   死刑を中止させた若者たち〜アメリカ 冤罪調査の授業〜
                 (4月19日BS1、22:00〜22:49放映)

 今年1月、アメリカ・イリノイ州知事が州内の死刑囚167人を一括して終身刑 に減刑した。私も新聞でこの一件を知っていたが、この知事の決断を促したのが、 大学生の行なった授業での(!)冤罪調査だったことをこの番組で知った。  ノースウェスタン大学ジャーナリズム学科の6人の学生たちは、デビット・ プロテス教授の指導のもとに、1982年に起こった殺人事件の記録を読んでいく。 そして、事件を再現し、様々な矛盾点を洗い出していく。授業では、関係者への インタビューのしかたなど、非常に実践的な教育を受け、しかも、腕利きの私立 探偵にも参加してもらいながら、真犯人への聞き取りなど、かなり危ない調査ま で敢行する。そして、ついに服役中の冤罪被害者に無罪をかちとる。  これが全米のテレビで放映され、ライアン知事が再調査を命じたところ、任期 期間中に8人の無実が明らかになった。知事は悩み、死刑囚の家族や被害者の家 族と話し合うなどの努力を続けた末、167人の死刑を一括して無期に減刑した。そ の発表は、見直しのきっかけを作ったノースウエスタン大学で行なわれた。  私自身は、日本での死刑廃止を主張するものではないが、アメリカの死刑はあ まりに多いと思うし、また、ずさんな捜査にも慄然とする。一方で、法解釈中心 の日本の法学教育に比べ、アメリカの法学の教育の実践的であることに驚く。ま た、面子にこだわらず、冤罪見直しのきっかけを作った学生たちの前で、死刑停 止の発表を行なった知事もなかなか立派だと思う。死刑制度、法学教育・大学教 育のありかた、多発するアメリカの凶悪犯罪など様々なことを考えさせる番組だ。                                (灘本昌久)

《参考データ》
・「死刑を中止させた若者たち」
 <http://www.paonetwork.co.jp/sakuhin-data/sakuhin2003/03-04/wakamono.htm>

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