分子生化学工学特別研究
分子生化学工学演習

講義目的(要旨)
 細胞増殖因子とそのレセプターがどのようにして、細胞の増殖、がん化、または分化という細胞の運命を決定するのか、以下にのべるような実験手法を用いてその分子機構を明らかにする。
 細胞の培養、PCRや遺伝子の塩基配列決定、抗体による免疫沈降、細胞の染色、ウエスタンブロッティング等の幅広い実験手法を用いる。
演習では専門領域の研究論文を読み、セミナー形式で発表する。その内容に対する質疑応答から、専門知識および研究内容の効果的な発表法について修得する。

 研究テーマとしては、主に以下の項目から各自の希望や個性を考えて選択している。

(1)細胞増殖因子(FGF)が、細胞膜に存在する受容体に結合し細胞の運命を決定させるシグナルを細胞内に生じさせるが、このシグナルを伝達する経路(分子)を明らかにする。細胞がそれぞれ分化、増殖、異常な増殖(がん化)をするときにこれらのシグナル伝達経路はどのように異なっているのか解析し、細胞の分化と増殖とどのような関わりがあるのか明らかにする。

(2)神経細胞や筋肉細胞等の高度に分化した細胞と、がん細胞や幹細胞等の未分化細胞における細胞増殖因子とその受容体の遺伝子および蛋白質の発現の調節機構の相違を明らかにする。分化した細胞と未分化な細胞では発現する細胞増殖因子やその受容体の種類や構造が異なっている。これは、異なる転写因子が活性化されるためであり、さらに転写されたmRNAの異なるスプライシングによるものと考えられる。これらの転写調節やスプライシングの機構を解析し、その細胞の分化と増殖との関わりを明らかにする。

(3)その他


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Last modified: Mon Aug 30 14:19:06 JST 1999