ヨーロッパの指輪

京都産業大学文化学部 谷優子

 

序論

今日、結婚をした人だけでなくファッションとしてつけるなどいろいろな人が指輪をするようになった。日本では指輪が広まったのはそう古いことではない。指輪が日本に広まったのは江戸時代後期である。長崎の出島に居住するオランダ人の影響を受けて一部の遊女や町人が指輪を用いたという記録が残っている。しかし、ヨーロッパでは指輪は古くからあり長い伝統をもつものである。そこでヨーロッパにおける指輪について調べたいと思う。

 

本論

1、  指輪の種類

ヨーロッパでは指輪が王権や宗教的権威の象徴を示し、さらに魔よけ・実用的用途・記念品・武器および護身具などにも幅広く用いられている。

・印象指輪

印象と指輪を合体させたもので、封印や契約の際に印象として用いられた。また統治者の権威のシンボルともされていた。

・鍵つき指輪

鍵はヨーロッパ社会では日常生活に不可欠なもの。鍵の習俗と切れ目のない指輪の円環のシンボルを合体させて男女を結びつける鍵つき指輪を生み出した。

・武器としての指輪

大型リングやギザギザのある輪状のものが身を守る武器の役割を果たしていた。

 

2、  鉄の指輪

現在の結婚指輪はダイヤモンドなどの宝石付きや金銀製のものだが、紀元前1世紀頃までは何の飾りもついていないただの鉄の指輪だった。鉄の指輪について「ギリシャ・ローマ神話」にプロメテウスの話がある。その話とはプロメテウスがギリシャ神話の最高神ゼウスに詐欺を働き罰を受けさせられた。そして、プロメテウスはゼウスに絶対服従の誓いをたてさせられ、その印として鉄の指輪をはめさせられたというものである。

古代ローマ王制・共和制時代までの法律では家長の権限は絶対的であり、女性の権威はとても低くかった。女性に鉄の指輪が贈られていたのは服従の誓いの意味をこめられていた。妻は自分の意見が正しいと思っても夫の意見には逆らえなかった。

 

 

 

3、    結婚・婚約指輪の起源

結婚・婚約指輪の起源のひとつに考えられるのがローマ時代の習慣である。まず婚約時に指輪を渡す風習は妻をお金で買う「売買婚」の習慣にあったとされている。結婚の際には家と家同士の関係や子孫を残すことが重視され、二人の愛情よりも身分や金銭がからんだものが多かった。そのため親が婚約を決めてしまう場合もあり婚約成立時に指輪がその代金の支払いの証拠として未来の花嫁の父に渡されていた。古代ローマ時代には指輪を渡す習慣は婚約時であって、決して結婚時ではなく、まして指輪を互いに交換する習慣はなかったと言われている。当時は結婚より婚約が重視されていた。それは婚約が契約を結ぶという意味のみならず、お金が絡んでいたからだと考えられる。

次に婚約指輪の慣習は最初装飾指輪を未来の花嫁にプレゼントすることから始まり、その際にこの装飾指輪はまだ法的拘束力を持つという考え方はなかった。したがって婚約の解消も可能だった。それが、紀元前三世紀ころから婚約指輪は法的拘束力をもつようになり、未来の夫に対して純潔を守る義務が生じた。

 

4、    「契約」としての指輪

婚約・結婚指輪は契約のシンボルともいえる。ヨーロッパは一般的に契約社会だと言われている。中世の封建体制における主従の関係も契約であった。つまり主君が臣下に封土を与え、これを保護するために臣下が主君に忠誠を尽くすという主従関係は相互の契約によって交わされていた。そのためヨーロッパでは指輪は契約の証拠物件のひとつとして特に婚約や結婚の際に用いられた。当時の婚約指輪には永遠の愛を誓うといった意味合いはなく、夫婦間の契約の印として指輪が贈られていた。つまり女性にとっては嫁いだ家に忠誠を約束するためのものだった。

 

5、  なぜ結婚指輪は左手薬指にするか

現在結婚指輪は左手の薬指にはめるのが一般的である。この起源も古代ローマからきていると言われている。それはローマ人の解剖学で左手薬指の血管が心臓に直結していると考えられていたからだ。心臓の中に感情の中心があるとされ、これが愛に結びつくことから左手薬指にはめる習慣が生まれた。 しかし、その根底には指輪の装着によって男性が女性を支配しようとしていた考えもあった。心臓に直結している左手薬指に指輪をはめる、つまり心臓を封印して女性の意思を封印してしまうという意味合いもあったのである。その他に合理的な根拠もあった。実際には右利きの人が多く、日常生活の中では利き腕の右手に指輪をはめていると何かと指輪が邪魔になったり指輪自体にも損傷をあたえることがあるからだ。それに対して左手薬指の指輪は日常生活のうえで最も邪魔にならない位置にあるといえる。このような古代の考えと現実的な理由から左手薬指に指輪をはめる習慣が今日でも続いていると考えられる。

 

結論

結婚指輪は幸せの象徴だと思っていたが、昔は服従や契約の印として贈られていたと知って驚いた。そして、左手の薬指に指輪をする根拠があったのが興味深かった。意味や形をかえながらも現在まで指輪が存在しているのは指輪が人々にとって身近で意味のあるものだったからだと思った。

 

参考文献

  浜本隆志 『指輪の文化史』 白水社 1999年

  http://homepage3.nifty.com/hannobap/kekkonn1.htm

  http://www.emus.co.jp/wedding/kaigai/ka01.html

  http://on-line-diamond.com/dict/b-ring/

 

 

今回日本との習慣の違いというのが調べられなかったので、今後はもっと日常生活のこと、例えばヨーロッパにおける学校生活で日本と違う習慣について調べてみようと思っています。