いま実数 x を任意に取り, 次々に2乗していくという操作を考えます. x= 2 であれば 2, 4, 16, 256, ... となります.こうしてできる数列を x の軌道といいます.極限値は x の絶対値が 1 より大のときは無限大, 1 より小のときは, 0 であることが簡単に確かめられるでしょう.
では, 2乗してから1を引くという操作の場合はどうでしうか.x=0 であれば, 0, -1, 0, -1, ... という軌道が得られます.しかし, どういう時に収束するか, 計算によって確かめるのはなかなか骨の折れる仕事です.
そこで, 平面上に y = x^2 - 1 のグラフと y = x のグラフを重ねて描いて, 少し考えてみると, 軌道を簡単に見つけられることに気付くでしょう.
このように関数や出発点を変えたときに, 軌道がどのように変化するかを調べるのは, 数学では力学系と呼ばれる分野に属しています.
今度は,変数を複素数zにとり, 複素数を2乗してから1を引くという操作を考えてみましょう. 複素数は平面上の点として表せますから出発点 z の軌道は平面上に点列として描かれます. 出発点 z の取り方によって様々な軌道がでてきますが, その絶対値が無限大に発散するときに, 点 z に白い印をつけ, それ以外のときには, 黒い印をつけることにして, 平面上の全ての点に対して同じことをすると, 次のような図が得られます.
黒い部分は充填 Julia 集合と呼ばれています. 他の部分は無限大に発散するスピードに応じて色合いをかえてあります.
また, つぎの図の黒い部分は Mandelbrot 集合と呼ばれています. Julia集合の時のように, 無限大に発散するスピードによって色合いを変えてあります.
次のはJulia 集合の一部を拡大したカラー図です.
Mandelbrot 集合の一部を拡大したカラー図です.
以下は複素ニュートン法の理論で現れる図です. 1番目の図は3つの小さい丸の中心に z^3-1=0 の解があり、初期値によってどの解に収束するか色分けしたものです.
残りの3つはサーストンモデルとその拡大図です.