「フランスの本当の顔」?

平塚 徹京都産業大学 外国語学部

京都産業大学外国語学部では、英語ドイツ語フランス語スペイン語イタリア語ロシア語中国語韓国語インドネシア語を専門的に学ぶことができます。


 2023年7月11日付の朝日新聞に載ったフランスでの暴動での記事にハイチ系の少年の言葉が引用されていた。

 「最初は抗議を支持していたのに、警察が動き出したら、みんなが郊外に住む人をバカにし始めた。あれがフランスの本当の顔だ」
「フランスの本当の顔」とは、なかなか凝った言い回しをすると思われるかもしれない。しかし、これはフランス語のle vrai visage de la Franceを直訳したものだろうと思われる。visageは「顔」という意味だが、「姿」や「様相」という意味もある。『小学館ロベール仏和大辞典』は、le vrai visage des Etats-Unisという用例を挙げて「アメリカの真の姿」という訳を付けている。そうすると、le vrai visage de la Franceは「フランスの真の姿」と訳せるし、そのような普通の感じの言葉だろう。「フランスの本当の顔」という凝った言い回しは直訳から生まれたものだろう。


©平塚徹(京都産業大学 外国語学部)

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