謎の英単語fay

平塚 徹(京都産業大学)


 「グーグル・Nグラム・ビューワー」で、fayという単語の使用頻度の推移を見ると、16世紀の終わり頃から出現して、19世紀初頭にほとんど消えてしまう。

辞書にはfayという語が幾つか掲載されているが、これはほとんどそのいずれでもない。

 実は、このfayの消失は、sayの出現頻度が増加するのと入れ替わりに起きている。

種明かしをすると、こういうことだ。

 s は、かつて、語末以外では ſ という字形が用いられていた。これを「長いs」と呼ぶ。長いsは、OCRでしばしば誤って f と認識されてしまう。そのため、sayがfayとなっている場合がよくあるのである。そして、長いsが用いられなくなると、急にfayが消えて、入れ替わりにsayが増加するのである。