X do not a Y make

平塚 徹(京都産業大学)


 ≪X do not a Y make≫という特異な語順の文が存在しています。例えば、次のようなものです。

 これは、Richard Lovelace (1618−1657) の To Althea, from Prison (1642) という詩の Stone walls do not a prison makeという一節の模倣だと考えられます。

Stone walls do not a prison make,
Nor iron bars a cage;
Minds innocent and quiet take
That for an hermitage

ここでは、2行後のtakeと押韻させるために、makeが文末に来ているために、 現代英語から見ると特異な語順になっています。 この詩句が人口に膾炙しているために、同じパターンの様々な文を生み出す元になっているようです。

 ≪X do not a Y make≫というパターンのことわざにも、これに合わせられたバージョンが存在します。

このうち、一つ目には、One swallow doth not a summer make. のように、 doesの代わりにdothを用いて、 特異な語順のもたらす古風な感じを更に強めるバージョンも見られます。

 学術論文のタイトルにも、このパターンは用いられています。

 人口に膾炙しているStone walls do not a prison make の古風な語順と格言的な内容が、 「XだけではYにはならない」という観念が生じたときに、しばしば、 それを≪X do not a Y make≫というパターンで表すというパロディーを生み出しているのです。