京都産業大学外国語学部の日本語・コミュニケーション専攻では、日本語について学ぶことができます。
以前、「別添」の読み方について相談を受けました。「べつぞえ」と読んだところ、みんなから「べってん」だと言われて納得がいかないということでした。その人たちは、「別」を「べつ」と音読みしているので、「添」も「てん」と音読みするべきだと思ったのでしょう。実際、辞書には「べってん」という読みが掲載されています。それに対して、「べつぞえ」という読み方は、「添」を訓読みしています。このように、二字熟語の上の字を音読み、下の字を訓読みする読み方は、「重箱読み」と言われています。「重箱」がそのような読み方になっているので、この名称があります。二字熟語の上下の読み方は、音読みなら音読み、訓読みなら訓読みと統一するのが原則です。ですから、重箱読みは変則的な読み方だということになります。それでは、この相談をした人は、「別添」をなぜ重箱読みしたのでしょうか。「別」で始まる二字熟語を見てみると、重箱読みするものがたくさんあります。
表記 | 読み |
別口 | べつくち |
別刷 | べつずり |
別立 | べつだて |
別腹 | べつばら |
別日 | べつび |
別間 | べつま |
別棟 | べつむね |
別物 | べつもの |
別枠 | べつわく |
当時、メールにファイルを添付することが増え始め、急に「別添」という語を目にすることが増えました。あまり口頭では効かない熟語ですので、「別」で始まる多くの重箱読みをする熟語に引っ張られて、「べってん」と読んでしまっても不思議ではないのです。
©平塚徹(京都産業大学 外国語学部)
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