6月と7月の区別

平塚 徹京都産業大学 外国語学部

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 英語のJulyとAugustがユリウス・カエサルとアウグストゥスに由来することはよく知られている。もともと、ラテン語では、7月はQuintilis、8月はSextilisだったが、二人の名前であるJuliusとAugustusに変えられてしまったのだ。しかし、ラテン語で6月はJuniusだったものだから、6月と7月がnとlの一字違いになってしまった。実に紛らわしい!なんて配慮のない改名なんだろう。かくして、ラテン語に由来する月名をもつ言語において、この紛らわしさを解消しようと色んなことが起きた。

英語
Julyのアクセントを第二音節に移動して、Juneと区別しやすくした。
ドイツ語
6月はJuni、7月はJuliだが、混同を避ける時には、それぞれ、Juno、Juleiと言う。アクセントも後ろにもっていったりするようだ。
イタリア語
カエサルの名前JuliusはGiulioになるが、7月はgiulioではなく、luglioにして、giugno(6月)と区別しやすくした。
フランス語
juillet(7月)には指小辞語尾-etがついていて、juin(6月)と区別しやすくなっている。
カタロニア語
juliol(7月)には指小辞語尾-olがついていて、juny(6月)と区別しやすくなっている。

 ある方から、サルデニア語では、6月と7月を本来とは全く異なる語に入れ替えていることをご教示頂きました。この言語では、その他に数詞由来の9月から12月も全く異なる語に入れ替えていますが、それ以外は本来の言い方を継承しています。


©平塚徹(京都産業大学 外国語学部)

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