専門は微分位相幾何学で、図形(多様体)の(微分)同相群やいろいろな幾何構造を保存する部分群について、その幾何学的意味を解明するために研究しています。ここで、(微分)同相群とは(微分)同相写像(たとえば、伸ばしたり、縮めたりする写像)からなる群で、積は合成写像で定義したものです。特に(微分)同相群の1次元ホモロジー群について調べています。群Gの1次元ホモロジーはGのその交換子部分群による商群として定義されます。したがって、群Gの1次元ホモロジーが0であることは、Gが完全群であることを意味します。すなわち、群がその交換子部分群と一致しているときをいいます。最近は(1)特異集合をもつ幾何構造(たとえば、群作用の不動点や特異軌道、特異点をもつ葉層構造、特異葉をもつ葉層構造、一点を固定する体積保存写像など)を保存する微分同相群やその部分群の1次元ホモロジーに興味を持っています。また、(2)その群が完全群の場合、その群の任意の元が何個の交換子の積で表されるか(交換子長)にも興味を持って研究しています。
これから学ぼうとする諸君は上記の話題の他、葉層構造などの力学系関連やその他の話題(位相的性質の考察)についても(相談の上)学ぶことができます。また、教職を希望する諸君のためには新しい話題の提供や地力をつけるゼミを考えています。
4次元多様体上の有向閉曲面による葉層構造の安定性・不安定性を考察し、種数2以上の閉曲面による葉層構造は不安定であることを示した。種数0のとき、すなわち、球面のときは安定であることが知られており、種数1のときはどちらも起こりうることが知られている。
リプシッツ写像の空間にコンパクト開リプシッツ位相を導入し、多様体がコンパクトのとき、その空間の中で、リプシッツはめ込み、埋め込みおよびしずめ込みの集合は開集合であることを示した。多様体がコンパクトでないときは開集合でない例も与えた。
曲面の微分同相群のホモトピー型は知られている。この事実を応用して、円周上の曲面をファイバーとするバンドルに対してファイバーを保つ微分同相群のホモとピー群を計算した。
Epstein の論文「The simplicity of certain groups of homeomorphisms」を読み、その応用を考察した。特に円周のPL同相群は完全群であるが、このパラメータ版や一点を固定するPL同相群の構造を考察した。
コンパクト リー群Gに対するG主束の同変微分同相群の各元の交換子の長さについて考察した。特にGがトーラス、軌道空間が球面のとき、同変微分同相群は一様完全な群であることを示した。
複素ユークリッド空間上の複素 Morse 関数の等位面による葉層に対して、葉層を保ち、コンパクトな台を持つ微分同相写像で原点の近傍で正則になるある部分群の1次元ホモロジー群を決定した。