京都産業大学大学院経済学研究科
オープンリサーチセンター



研究成果等公開型プロジェクト

平成15年度事業報告

 

 本センターは、文部科学省私立大学学術研究高度化推進事業の一つであるオープンリサーチセンター(ORC)であり、平成1311月より開始し(平成17年度3月まで)今年度ですでに3年が過ぎ、本学大学院経済学研究科の研究活動に積極的に貢献している。今年度も本センターは研究活動と研究成果の公開を行なってきた。平成159月には本センター3プロジェクトは、文部科学省に対して「研究進捗状況報告書」を提出した。

 今年度における本センター3プロジェクトの主な活動の概略について代表者の立場より述べておきたい。

 地域経済のプロジェクトT:日本の地域経済は、経済の国際化・情報化およびサービス化の進展とともに産業構造変革と人口高齢化社会を迎える中で、地域に関わる問題は一層顕在化しつつある。今年度より新しく研究者が一人加わり、地方公共財供給・地域の産業構造・地域の少子高齢化・日本農業の活性化・地域人口分布・地方交付税といったトピックスについて研究活動が行なわれた。また、平成1512月には京都産業大学を会場にして、『地方分権時代の地域経済活性化』というテーマで「公開シンポジウム」が開催され、東北・北陸・関西・京都・中国四国・九州など地域の活性化に関する報告が行なわれ、意見交換が行なわれた。

 中国経済のプロジェクトU:平成153月からのSARSの影響もあり中国への調査研究計画は縮小せざるをえなかった。そのこともあり今年度は研究活動に重点が置かれてきた。「中国経済の市場化と国際化」を統一テーマとして研究活動が行なわれている。その主なものは、中国の国有企業改革問題、中国におけるRent-Seeking活動と長期経済成長、中国農業の「三農問題」と農業資源の偏在、中国への外国企業の進出と中国政府の外資政策、日中貿易構造の変化などについて行なわれている。また、研究結果の公開の場として、Webによるホームページ公開は重要な役割をする。中国プロジェクトのホームページの充実は注目される点である。

 学説史のプロジェクトV:今年度も@ヴィクセル関連の資料、Aセイ関連の資料、Bハイエク、ミーゼス、モルゲンシュテルン、ハーバラーなど大戦間期のオーストリア学派関連の資料の「収集とデジタル化とデータベース化と公開」が引き続き行なわれた。デジタル化および公開に関しては著作権の問題もあり、慎重な配慮の上で実施がなされている。また、平成1511月には、京都コンソーシアムのキャンパスプラザにおいて、『経済学古典文献の電子図書館構想』という演題で「公開シンポジウム」が開催され、本プロジェクトがこれまでデジタル化して公開に至った文献紹介とその経緯と問題点について報告と意見交換がなされた。

 本センターORCの立ち上げがなされて3年が経過した。いよいよ後半の2年を残すところとなった。各プロジェクトの運営も「公開シンポジウム」を開催するなりして軌道に乗ってきた感をもつ。各プロジェクトの一層の研究活動が進行し、その成果を広く公開できることを期待したい。






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