京都産業大学大学院経済学研究科
オープンリサーチセンター



研究成果等公開型プロジェクト

平成14年度事業報告

  本プロジェクトは、文部科学省私立大学学術研究高度化推進事業の一つであるオープンリサーチセンター(以下、ORCという)整備事業の対象として選定を受け、平成13年度11月より活動を開始し(平成17年度3月まで)今年度ですでに2年目が過ぎようとしている。本プロジェクトは、別にORC整備事業の開始している「実験経済学」プロジェクトとともに、本学大学院経済学研究科の研究活動に積極的に貢献している。

 本プロジェクトには3プロジェクトよりなり、経済グローバル化と市場経済化をキーワードにそれぞれ独立に研究活動を行っているが、3プロジェクトは研究成果等を積極的に社会に公開するという意識もって運営を行っている。本年度の各プロジェクトはどうであったかについて代表者の立場でまとめをしておきたい。

 地域経済のプロジェクトT:地域経済に関わる分野は多岐にわたるが、それぞれの個別研究がで進められた。道路・鉄道・港湾などの公共性をもつ交通関連社会資本が地域経済に与える効果、関西地域の産業構造と活性化、少子化高齢化の地域分析、「安定・安価・安全」に農産物を提供する体制の構築、京都市人口変動の行政マネジメントへの応用などプロジェクト6名の研究者によって着実に研究が進められた。

 中国経済のプロジェクトU:2002年は日中国交回復30周年にあたることから、当初計画にはなかった第1回『公開シンポジウム』を1年前倒しで実施された。『中国経済の将来と日本企業の役割』をテーマとし、基調講演に加えて、上海社会科学院の研究者2名、企業関係者3名、本プロジェクト研究者1名の計6名のパネラーによる討論が行われ盛会であった。さらに、本プロジェクトが当初計画より重視していた中国内陸部の視察旅行(東北地方、西部地方)も予定どおり精力的に実施することができ、今後の研究活動が大いに期待できる。

 学説史のプロジェクトV:ヴィクセル関連の資料の収集とデジタル化が行われた。また、ジャン・バティスト・セーに関係する文書の収集も実現した。他方、「社会的市場経済(soziale Marktwirtschaft)」概念成立史に関わる資料をデジタル化、シュパンとその周辺人物(Jakob Baxa, Wilhelm Andreae等々)の遺稿の調査とデジカメによる撮影を行った。本プロジェクトは、近代経済学における市場経済論に関わる学説の形成史に焦点を絞り、特にWicksell並びにオーストリア学派の経済学者の市場経済をめぐる公刊著作のデジタル化と公開をすすめることを目的としているが、資料が利用しやすい公開の方法および著作権の問題などについて検討を行っている。

 本プロジェクトの立ち上げがなされて2年目が経過しようとしている。来年度は3年目を迎えることになる。各プロジェクトの存在が試される重要な時期に認識している。各プロジェクトの一層の研究活動が進行することを期待したい。そしてその成果を広く公開できるよう関係者の協力をお願いする次第であります。

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