京都産業大学 ORC Discussion Paper シリーズ


 
NoCHINA-06 20033月)
   
 

中国野菜輸入増加にかかわる経済利害を中心にして

寺町 信雄

 

 要 約

  近年中国からの野菜輸入が増加傾向にある。この野菜輸入増加は、輸出入関係者の経済利益に影響を及ぼすこととなった。輸出国では中国の野菜農業関係者・中国政府、輸入国では輸入業者・野菜産地生産者・食品加工業者・外食産業・小売業者・消費者・産地選出議員・日本政府・中国向け輸出産業などである。論文では、各関係者の経済利益がどうように影響を及ぼしたかについて議論をするとともに、 2001 4 月日本政府が実施した対中農産物3品目に対するセーフガード暫定措置の背景となる中国側と日本側の農業政策・農業事情についても議論する。また、日本政府がセーフガード暫定措置を実施する過程における、政権党である自民党農業族議員と野菜産地の関連についても議論する。そして最後に、野菜輸入増加の経済効果について比較優位論の視点から包括的な議論を展開し、 WTO および自由貿易協定の交渉を進める日本として、農業部門について保護主義的なスタンスを持ち続けることによる他部門および国民が支払う対価は、決して少なくないことを述べる。

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【掲載:『京都産業大学論集』(社会科学系列)第21号,2004年3月】