この論文は中国経済を現実な背景として、
Rent-Seeking
活動がある場合の公的支出と長期成長の関係を理論的に分析している。論文は
Barro(1990)
と Futagami
et al. (1993) が考えられている公共サービスまたは公的資本蓄積の生産、投資主体を公的部門(国有企業)と想定し、これらの生産、投資活動の中で
Rent
を獲得するという Rent-Seeking
が発生すると仮定することで、以下の結論を得ている。第1に、Rent-Seeking
活動によって、生産されるべき公共サービス(または公共資本)の供給量が少なくなり(Rent−供給量効果)、必要以上の買金が所得税によって調達される(Rent−租税効果)。第
2 に、税率よりも生産効率性を表わす指標の方が大きければ、Rentが存在す場合でも、一意的な正なる長期均衡が存在し、その均衡に収束する唯一の安定的な径路が存在する。第3に、Rent
が存在するときには、成長率を最大にする税率はBarro(1990
)と Futagami
et al. (1990)(定常分析の場合)が示したものよりも低くなる。第
4 に、
Rent
を社会的ロスとすれば、
Rent-Seeking
活動のない場合(Futagami
et al. (1993
)のケース)に比べて、定常均衡は低くなる。
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