要 約
中国の経済政策において、影響力を強めている新制度派経済学について、その理論的系譜と政府の役割を検討する。米国に始まった(旧)制度派経済学の歴史は長く、市場経済至上主義に対する批判を行ってきたが、学会の主流にはならなかった。新制度派経済学は市場システムを受け容れた上で、諸制度の重要性を主張する。
新制度経済学が、共産党が指導する中国の「社会主義市場経済」において、広く受け容れられている理由は、第一に中国は体制移行国であること、第二に理論的には「制度派」の多義性、にあるとみる。国家主導的な「日本型産業政策」とは異なる「中国型産業政策」の出現を予想させる新制度学派の経済思想を検討する。
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