要 約
1996
年 〜2005 年の期間における日本の対中貿易構造について、 UNCTAD/WTO の ITC が提供する
SITCver.3 の 5 桁分類の貿易データを利用して明らかにする。使用する貿易データを一方向貿易と双方向貿易に区分して貿易構造の特徴を先ず議論する。次に
SITC 分類の貿易データを用途別の BEC 分類に組み替えて貿易構造の特徴を明らかにし、続いて、双方向貿易の品目を垂直的産業内貿易と水平的産業内貿易に区分して議論を展開する。
日中貿易の一部において、各品目の輸出額と輸入額の開きが 9 倍以上の比率をもつ品目で構成される一方向貿易が行なわれ、中国から日本へ一次産品および軽工業品中心の消費財が輸出され、日本から中国へは化学製品・原料別製品に属する産業用資材加工品、一般機械に属する資本財、電気機械に属する資本財部品が輸出されている。これに加えて、日中貿易の他の部分では、双方向貿易の品目の貿易が行なわれている。そしてその多くは垂直的産業内貿易品目であり、残りは水平的産業内貿易品目となっている。双方向貿易の同一品目の輸出単価と輸入単価の乖離が
15 %以上である場合を垂直的産業内貿易品目としているが、これら品目と一方向貿易の品目とは、いずれも要素賦存要因により起きていること、そして日中貿易では水平的産業内貿易のウェイトが低いことから、日中の貿易パターンのメインは、ヘクシャー・オリーン的な考え方で説明が可能であると結論する。また、
BEC 分類の手法を用いて使用した貿易データを「中間財と最終財」に仕分けすることにより、日本は中間財と資本財に、中国は食料・消費財などの最終財に大きなシェアの輸出を行っていることから、日中貿易は相互に競合する関係というよりは補完する関係にあると別の結果を述べる。
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