京都産業大学 ORC Discussion Paper シリーズ

 
NoCHINA-0220022月)
   
 

Empirical Studies of the Chinese Banking Industry

Fang Jianwen and Miyashita Hiroshi

 

 要 約

 中国の8全国銀行(国営および私営)の1995年から1999年のパネルデータより生産関数を推定し、生産の効率性と規模の経済性を検証している。使用された関数はコブ=ダグラス型、フロンティア関数、およびトランスログ関数の3種である。銀行の生産高として貸出を、生産要素として預金と労働量が使用されている。コブ=ダグラス型生産関数では、固定効果とランダム効果が試みられ、技術的非効率が計測された。フロンティア関数は実証分析で多用されるために本研究でも考慮に入れたものである。トランスログ関数においては自由度の制約から直接に技術的非効率性を計測しなかったが、年ダミー変数と国営・私営銀行を区別するダミー変数をふかして推計が実施された。

 以上の実証分析により、規模の大きい国営銀行では規模に関して収穫不変が観察され、規模の小さい私営銀行において規模の経済性が観察された。また国営銀行の方が私営銀行よりも効率的であるという結論も得られた。

【掲載:『京都マネジメント・レビュー』(京都産業大学大学院経営マネジメント研究科)第2号,2003】