あの夏の日に
2010/10/31~11/02 第四十五回神山祭にて上映


監督:古川辰樹

キャスト:岡島奈美
     古川辰樹
     岡田暎史
     池上正樹
     下岡菜実香
     内藤智仁
     後藤優太
DV-48分
何もない、平凡な毎日を送る少女は、ある日不思議な若いカメラマンと出会う。ひたむきな心に彼等は惹かれあってゆく。愛と夢に生きる二人の姿を美しく描く、忘れかけていたロマン漂う純愛映画。

監督よもやま話

この映画は私の初監督作品である。
あらすじの通りの純愛映画であるが、この映画を撮ろうと思ったきっかけは実に単純なもので、8月頃久々に私の高校があった兵庫県篠山市を訪れると、見慣れていたはずの光景が思いのほか美しく、ここで映画を撮りたい!!と思ったからである。
そして映画といえば恋愛。私はそう思っているので、初監督作品の題材に選んだ。主演に選んだ岡島も快く引き受けてくれ、この映画の製作がスタートすることとなった。

 
この映画のロケ地となった兵庫県篠山市。のどかに広がる田園風景が美しい。

撮影を行ったのは2010年8月と9月。
題材として海を使いたかったので、和歌山県でもロケを行うことにした。遠方でロケを行うことの難点は、再撮が行えないため、限られた時間で必ず必要なカットを撮り終えなければならないこと、そして、使えないカットがあった場合に撮り直しがきかないということである。
こうした問題を乗り越えるため、撮影前夜には深夜まで最も効率的な撮影順序を考え、また撮り忘れなどが絶対にないよう紙ベースで撮影資料をキャスト、スタッフ全員に配布することにした。

8月25日
いよいよ撮影がスタート。この日は兵庫県篠山市でのロケを行う。深夜まで撮影資料を作成した上での早朝起床。若干きついが、監督である私がぼーっとしていたのではどうしようもないので、栄養ドリンクを飲んで撮影に備える。
大阪駅からちょうど1時間、JR篠山口駅からタクシーで20分ほど走ったところがロケ地である。余談だが、現地の方の話によると、この近辺では蒲田行進曲のロケも行われたらしい。さすが美しい風景、先人達も目をつけていたわけだ。今回のロケでは地元民であり私の高校時代の友人、T君が撮影助手として参加してくれた。心強い助っ人だ。ちなみに本編中で美紀子が乗っている自転車は彼のものである。早速撮影スタート。深夜まで作成した撮影資料も功を奏し、順調に撮影が進む。もっとも、監督自ら重要キャストを兼ねるという荒業(櫻井隆一は、私である。)をしているため、そこの苦労はあったが…
午前中は順調に進んだ撮影であったが、当日は絶好の快晴。気温もどんどん上昇し、気分が悪くなるキャストやスタッフが出てきて、撮影のペースは大きく落ちてしまった。T君が近くのコンビニ(とはいえ2キロ以上離れている)まで飲み物を買ってきてくれてなんとか急場をしのいだが、帰ってきたT君の自転車はなんとパンクしていた!!まだ自転車を使用するシーンが残っているので、タイヤをミシミシ言わせながらなんとか撮影。午後5時頃に本日の撮影が終了した。

8月27日
この日は和歌山でのロケを行う。兵庫県篠山市は私の自宅の近所であるためロケハンを行ったが、和歌山にロケハンに行くのは費用の問題でちょっと厳しかった。しかし、Googleの航空写真と、岡島の友人さんのおかげで十分な事前情報入手に成功し、スムーズに撮影場所を選ぶことができた。
青春18きっぷを握りしめてJR和歌山駅から御坊行に乗り換えて30分ほど、「広川ビーチ」駅で下車し徒歩15分ほどで今回のロケ地西広(にしひろ)海岸に到着する。もともと穴場であることとお盆過ぎということが重なり、人が少ない良好な環境で撮影ができた。今日は撮影カット数自体は前回より少ないが、ラストシーンや「海は広いな大きいな」を歌うなど、ヘビーな撮影が多い。テイク7ほどまでいったカットもあったものの、撮影は午後2時頃に終了。この日は私と岡島・岡田・坂野の4人でロケを行ったが、岡田と私は海で遊び、岡島と坂野は岡島の現地の友人さんと語らっていた。
5時頃まで遊んだあと、帰り道に和歌山駅に寄り道して、有名な和歌山ラーメンのお店「井出商店」で晩ご飯を食べた。数年前のTVチャンピオンで優勝に輝いた醤油とんこつラーメンは濃厚でとても美味しく、撮影の疲れを忘れさせてくれるものであった。

この後もこまごまとしたシーンの撮影や編集などでいろいろと苦労したが、楽しい思い出がいっぱいの映画製作となった。
初監督ということで、突っ込みどころ満載ではあるが、私のこだわりと情熱を注ぎ込んだ「あの夏の日に」YouTubeにてご視聴いただければ幸いである。



続きはこちらでご覧ください。


カット集